【ヘンダーソン】高血圧 入院7日目(0013)| 1.正常に呼吸する

ヘンダーソン

事例の要約

58歳男性のA氏は、大手IT企業の管理職として過重労働が続く中、職場健康診断で収縮期血圧210mmHg、拡張期血圧118mmHgと著明な上昇を指摘され、高血圧緊急症の診断で即日入院となった。入院後、降圧治療により血圧は徐々に安定し、生活習慣の改善に向けた指導を受けている事例。介入日は1月28日(入院7日目)である。

1.正常に呼吸する

A氏の基礎疾患である高血圧緊急症は、心臓への負荷が増大し、その結果として呼吸機能にも影響を及ぼす可能性がある疾患である。しかし、現時点では呼吸機能に顕著な異常は認められていない。

入院時のバイタルサインでは、呼吸に関する指標として経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が室内気で98%を示しており、入院7日目の現在も同値を維持している。呼吸数に関する具体的な記載はないため、今後の観察項目として、安静時および運動時の呼吸数、呼吸の深さ、リズム、呼吸様式の確認が必要である。また、胸部レントゲン所見や肺雑音の有無についても情報収集が必要である。

呼吸困難感や息切れの訴えは現時点では記録されていないが、病棟内歩行を1日3回、各15分程度実施していることから、運動時の呼吸状態の変化について詳細な観察が必要である。特に高血圧緊急症による心機能への影響が考えられるため、運動時の呼吸困難感の有無、息切れの程度、回復に要する時間などの評価が重要である。

喫煙歴については、1日20本を38年間継続していた重要な情報がある。長期の喫煙歴により呼吸機能の低下が懸念されるため、呼吸機能検査の実施を検討する必要がある。現在は入院による禁煙を守れているものの、退院後の禁煙継続に向けた支援が必要である。禁煙に伴う離脱症状の有無や程度についても観察が必要である。

呼吸に関するアレルギーについては、薬剤および食物アレルギーがないことが確認されている。しかし、環境アレルギーの有無については情報がないため、確認が必要である。

A氏は58歳であり、加齢による呼吸機能の生理的な低下が始まっている可能性がある。これに喫煙歴が加わることで、呼吸機能の低下が加速している可能性を考慮する必要がある。

看護介入として、観察と教育の両面からの包括的なアプローチが必要である。

観察面では、定期的な呼吸状態の観察と記録を行う。特に運動時の呼吸状態の変化に注目し、過度な負荷がかかっていないかを評価する。さらに、退院後の生活を見据えて、徐々に活動量を増やしていく中での呼吸状態の変化を観察し、必要に応じて活動量の調整を行う。

教育的介入としては、以下の要素を含む包括的な患者教育プログラムの実施が重要である。第一に、喫煙が呼吸機能に及ぼす影響について、視覚的な教材を用いて具体的に説明する。特に、38年間の喫煙歴がもたらす健康への影響を、肺年齢や慢性閉塞性肺疾患のリスクなどの具体的な指標を用いて説明する。

禁煙支援については、ニコチン離脱症状への対処法や禁煙補助薬の使用方法について詳しく指導する。特に、仕事によるストレス状況下での禁煙継続のための具体的な対処方法を、A氏の生活状況に合わせて提案する。また、禁煙外来の紹介や禁煙支援アプリの活用など、退院後も継続可能な支援リソースについての情報提供を行う。

さらに、呼吸機能の維持・改善のための具体的な方法として、腹式呼吸やリラクゼーション法の指導を行う。これらの手法は、ストレス管理にも効果的であり、禁煙継続の支援策としても有用である。また、適切な運動方法についても指導を行い、特に息切れを感じた際の休息の取り方や呼吸法について実践的な指導を行う。

家族教育も重要であり、特に毎日面会に来ている妻への教育的介入を積極的に行う。妻は健康管理への積極的な関与を希望していることから、禁煙支援の方法や、異常時の早期発見のためのサインについて具体的に指導する。また、家族での運動習慣の確立など、生活習慣改善のための具体的な方策について家族を含めた指導を行う。

これらの教育的介入は、A氏の理解度を確認しながら段階的に実施し、特に仕事復帰後の実践可能性を重視した内容とする。また、教育内容の定着度を確認するため、定期的な評価と必要に応じた再指導を行う計画を立案する。

ニーズの充足状況については、現時点では呼吸機能は正常に保たれており、日常生活に支障をきたすような呼吸器症状は認められていないことから、基本的なニーズは充足されていると判断できる。しかし、長期の喫煙歴があることから、潜在的な呼吸機能の低下のリスクが存在する。

看護問題の明確化

#長期喫煙歴に関連した呼吸機能低下のリスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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