【ヘンダーソン】高血圧 入院7日目(0013)| 3.あらゆる排泄経路から排泄する

ヘンダーソン

事例の要約

58歳男性のA氏は、大手IT企業の管理職として過重労働が続く中、職場健康診断で収縮期血圧210mmHg、拡張期血圧118mmHgと著明な上昇を指摘され、高血圧緊急症の診断で即日入院となった。入院後、降圧治療により血圧は徐々に安定し、生活習慣の改善に向けた指導を受けている事例。介入日は1月28日(入院7日目)である。

3.あらゆる排泄経路から排泄する

A氏の排泄状況について、入院前は1日1-2回の普通便であり、排泄は自立していた。入院後も排泄は自立しており、トイレまでの移動も問題なく行えている。便秘の訴えはなく、下剤の使用も必要としていない。ただし、便の性状や量についての具体的な記載がないため、ブリストルスケールを用いた評価や、1回あたりの排便量の確認が必要である。

排尿に関しては、自立して行えているものの、具体的な回数や1回排尿量、24時間尿量についての情報が不足している。高血圧緊急症の治療経過を評価する上で、排尿量のモニタリングは重要であり、特にニカルジピンの持続点滴による降圧治療中は、厳密な尿量測定が必要である。

体液バランスの評価において、入院時の水分摂取量は約1000ml/日であったことが確認されている。現在は病院食とともに必要な水分摂取ができているものの、具体的な摂取量の記録や、出納バランスの記録が必要である。発汗に関する情報も記載がないため、特に運動時や入浴時の発汗状況について観察が必要である。

腹部症状については、腹部膨満感の有無や腸蠕動音に関する情報が不足している。これらは排便機能の評価に重要であるため、定期的な腹部診察とアセスメントが必要である。また、麻痺の有無については、日常生活動作が自立していることから、排泄に影響を及ぼすような麻痺は認められていないと判断できる。

血液データからは、腎機能に関する指標としてBUNが18mg/dL、クレアチニンが0.8mg/dLと、いずれも基準値内である。ただし、糸球体濾過量(GFR)の具体的な数値の記載がないため、年齢を考慮した腎機能の詳細な評価が必要である。58歳という年齢を考慮すると、加齢に伴う腎機能の生理的な低下が始まっている可能性があり、継続的なモニタリングが重要である。

内服薬として降圧薬のアムロジピンとカンデサルタンを服用している。カンデサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬であり、輸出細動脈を選択的に拡張させることで糸球体内圧を低下させ、治療開始直後のGFR低下や血清クレアチニン値の上昇、高カリウム血症などの影響を及ぼす可能性がある。また、ナトリウム利尿作用により尿量増加や夜間頻尿を引き起こすことがある。一方、アムロジピンは輸入・輸出細動脈をともに拡張させることで腎血流量を増加させ、糸球体内圧を維持する特徴があるが、軽度の体液貯留や下肢浮腫を引き起こす可能性がある。これらの薬剤の作用を考慮し、腎機能や体液バランスへの影響を注意深く観察する必要がある。

看護介入として、以下の対応が必要である。まず、排尿量と排便状況の詳細な記録を開始し、特に降圧治療中の尿量変化に注目する。また、適切な水分摂取を促すとともに、摂取量と排泄量のバランスを継続的に評価する。運動時や入浴時の発汗状況についても観察を行う。さらに、定期的な腹部診察を実施し、腸蠕動音や腹部膨満感の有無を確認する。

これらの観察結果は、降圧治療の効果判定や腎機能への影響評価に重要であるため、医療チームで共有し、治療方針の検討に活用する。また、退院後の自己管理に向けて、排尿回数や尿量の目安、適切な水分摂取量について具体的な指導を行う必要がある。

ニーズの充足状況については、現時点では排泄の自立が保たれており、便秘や排尿障害の訴えもないことから、基本的なニーズは充足されていると判断できる。ただし、高血圧緊急症の治療過程における体液管理という観点からは、より詳細なモニタリングと評価が必要な状態である。

看護問題の明確化

なし

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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