【ヘンダーソン】高血圧 入院7日目(0013)| 4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する

ヘンダーソン

事例の要約

58歳男性のA氏は、大手IT企業の管理職として過重労働が続く中、職場健康診断で収縮期血圧210mmHg、拡張期血圧118mmHgと著明な上昇を指摘され、高血圧緊急症の診断で即日入院となった。入院後、降圧治療により血圧は徐々に安定し、生活習慣の改善に向けた指導を受けている事例。介入日は1月28日(入院7日目)である。

4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する

A氏の日常生活動作は全般的に自立しており、介助を必要としない状態である。具体的には、歩行、移乗動作、排泄動作、入浴動作、更衣動作のいずれも自立して行えている。麻痺や骨折の既往はなく、身体機能的な制限因子は認められていない。

入院時の治療としてニカルジピンの持続点滴が実施されていたが、入院3日目には内服薬への切り替えが完了している。現在は末梢静脈ラインの留置や各種ドレーン類の使用はなく、活動の制限因子とはなっていない。

生活習慣については、IT企業の管理職として20年以上勤務しており、30名の部下を統括する立場にある。性格は几帳面で仕事熱心であり、部下からの信頼も厚い。しかし、自身の健康管理は後回しにする傾向があり、これまでの生活では運動習慣が乏しく、不規則な生活リズムであった。認知機能に問題はなく、医療者との意思疎通も良好である。

運動機能に関連した呼吸機能については、入院時および現在の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は室内気で98%を維持しており、安静時の呼吸機能は良好である。現在は病棟内歩行を1日3回、各15分程度実施しており、この運動中も呼吸状態は安定している。ただし、38年間の喫煙歴があることから、潜在的な呼吸機能低下の可能性について考慮する必要がある。

転倒転落のリスク評価において、以下の要因を考慮する必要がある。まず、高血圧緊急症による血圧変動のリスクがある。特に降圧薬による治療中は、起立性低血圧や一過性の血圧低下による転倒リスクに注意が必要である。また、58歳という年齢を考慮すると、加齢による平衡機能や筋力の軽度低下が始まっている可能性がある。さらに、BMIが27.7kg/m²と肥満度1度に該当することも、バランス機能に影響を与える可能性がある。これまでの転倒歴はないものの、入院による環境の変化や、夜間のトイレ移動などの際には注意が必要である。

看護介入として、以下の対応が必要である。まず、現在実施している病棟内歩行について、血圧値や自覚症状の観察を継続する。特に運動前後の血圧測定と、めまいや立ちくらみの有無の確認が重要である。また、夜間のトイレ移動時の安全確保として、必要に応じてナースコールの使用を促す。さらに、退院後の生活を見据えて、適切な運動方法や生活リズムの確立について指導を行う。

理学療法士による運動指導が開始されているが、これを効果的に活用し、退院後も継続可能な運動プログラムの確立を支援する。また、職場復帰後の活動量の調整については、A氏の管理職という立場と、これまでの仕事中心の生活習慣を考慮した具体的な指導が必要である。特に以下の点について指導を行う。まず、デスクワークの合間に定期的な休憩と軽い運動を取り入れることを推奨する。具体的には、1時間ごとの2-3分程度のストレッチや、昼休憩時の10-15分程度の歩行運動などを提案する。また、会議の際は可能な限り立ち会議を取り入れるなど、座位時間の軽減を図る工夫を指導する。残業時間の制限については、当面は定時での帰宅を目標とし、徐々に通常業務に移行することを提案する。通勤に関しては、混雑時を避けた時差出勤の活用や、必要に応じて一時的な車での通勤への変更を検討するなど、身体的負担の軽減策を具体的に指導する必要がある。

ニーズの充足状況については、基本的な移動能力は保たれており、日常生活動作も自立していることから、現時点での基本的なニーズは充足されている。ただし、生活習慣の改善と安全な活動の確保という観点からは、継続的な支援と観察が必要な状態である。

看護問題の明確化

#高血圧緊急症の治療に関連した転倒リスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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