【ヘンダーソン】高血圧 入院7日目(0013)| 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
本事例の要約
58歳男性のA氏は、大手IT企業の管理職として過重労働が続く中、職場健康診断で収縮期血圧210mmHg、拡張期血圧118mmHgと著明な上昇を指摘され、高血圧緊急症の診断で即日入院となった。入院後、降圧治療により血圧は徐々に安定し、生活習慣の改善に向けた指導を受けている事例。介入日は1月28日(入院7日目)である。
この事例で勉強できること
高血圧のアセスメント
今回の情報
基本情報
A氏は58歳の男性で、身長172cm、体重82kgである。家族構成は専業主婦の妻(56歳)との2人暮らしで、長男(28歳)は結婚を機に別居している。キーパーソンは毎日面会に来ている妻である。職業は大手IT企業の管理職として20年以上勤務しており、30名の部下を統括している。性格は几帳面で仕事熱心であり、部下からの信頼も厚いが、自身の健康管理は後回しにする傾向がある。感染症の既往はなく、薬剤および食物アレルギーもない。認知機能に問題はなく、医療者との意思疎通も良好である。
病名
病名は高血圧緊急症である。
既往歴と治療状況
既往歴は高血圧症があり、内服治療を受けていたが、多忙を理由に服薬は不規則で自己中断することが多かった。他の既往歴や手術歴はない。また、数ヶ月前から時々頭痛や肩こりを自覚していたが、市販の鎮痛薬で対処していた状況である。
入院から現在までの情報
1月22日の職場健康診断で収縮期血圧210mmHg、拡張期血圧118mmHgと著明な上昇を指摘され、産業医の強い指示で近医を受診し、高血圧緊急症の診断で即日入院となる。入院1日目はニカルジピンの持続点滴による降圧治療を開始した。入院当初は翌日の重要な会議への出席を強く希望したが、主治医による説明で安静の必要性を理解し、了承している。入院3日目には血圧値が徐々に安定し、内服薬への切り替えを開始した。入院5日目からは理学療法士による運動指導と管理栄養士による食事指導を開始している。入院7日目の現在は血圧管理が良好となり、生活習慣の改善に向けた指導を継続中である。病棟内の歩行は許可されており、1日3回、各15分程度の歩行を実施している。
バイタルサイン
来院時のバイタルサインは、血圧210/118mmHg、脈拍96回/分、体温36.8℃、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は室内気で98%であった。
現在(入院7日目)のバイタルサインは、血圧162/94mmHg、脈拍82回/分、体温36.6℃、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は室内気で98%と、降圧治療により血圧・脈拍の改善を認めている。
食事と嚥下状態
入院前の食事は1日3食を確保していたが、昼食は弁当、夕食は職場近くの飲食店での外食が中心で、特に塩分の多い食事を好んでいた。水分摂取は約1000ml/日で、コーヒーの摂取が多かった。嚥下機能に問題はない。喫煙は20本/日を38年間継続しており、飲酒はビール500mlを毎日摂取していた。現在は入院による禁煙・禁酒を守れており、病院食を全量摂取している。
排泄
入院前の排泄は自立しており、1日1-2回の普通便であった。現在も排泄は自立しており、トイレまでの移動も問題ない。便秘の訴えはなく、下剤の使用はしていない。
睡眠
入院前は仕事の影響で平均5-6時間の睡眠時間であり、睡眠不足の状態が続いていた。現在は入院による環境の変化はあるものの、眠剤を使用せずに7-8時間の睡眠が確保できている。
視力・聴力・知覚・コミュニケーション・信仰
視力・聴力ともに問題なく、日常生活に支障はない。知覚障害はなく、医療者とのコミュニケーションも良好である。特別な信仰は持っていない。
動作状況
全ての日常生活動作は自立しており、介助を必要としない。歩行は病棟内を1日3回、各15分程度実施しており、歩行状態は安定している。移乗動作も問題なく行える。排尿・排泄は自立しており、トイレまでの移動も安全に行えている。入浴は週3回シャワー浴が許可されており、医療者の見守りのもと問題なく実施できている。衣類の着脱も自立しており、病衣の更衣も自分で行える。これまでに転倒歴はない。ただし、入院による運動不足を気にしており、早期の職場復帰への意欲が強い。
内服中の薬
- アムロジピン5mg 1回1錠 1日1回 朝食後
- カンデサルタン8mg 1回1錠 1日1回 朝食後
- アトルバスタチン10mg 1回1錠 1日1回 夕食後
【服薬状況】 現在は看護師による配薬管理を行っており、確実に内服できている。入院前は自己管理であったが、仕事の多忙を理由に服薬の自己中断や飲み忘れが多かった。
検査データ
検査項目 | 基準値 | 入院時(1/22) | 現在(1/28) |
---|---|---|---|
AST | 10-35 U/L | 48 | 42 |
ALT | 5-40 U/L | 65 | 55 |
γ-GTP | 0-50 U/L | 96 | 86 |
T-Bil | 0.2-1.2 mg/dL | 1.5 | 1.1 |
TG | 50-150 mg/dL | 265 | 245 |
LDL-C | 70-140 mg/dL | 182 | 162 |
HDL-C | 40-90 mg/dL | 38 | 38 |
BUN | 8-20 mg/dL | 18 | 16 |
Cr | 0.6-1.2 mg/dL | 0.9 | 0.8 |
Na | 135-145 mEq/L | 142 | 140 |
K | 3.5-5.0 mEq/L | 4.2 | 4.0 |
Cl | 98-108 mEq/L | 104 | 102 |
WBC | 3500-9000 /μL | 9800 | 9200 |
RBC | 430-550 万/μL | 480 | 475 |
Hb | 13.5-17.0 g/dL | 14.8 | 14.5 |
Plt | 15-35 万/μL | 28.5 | 27.8 |
HbA1c | 4.6-6.2 % | 6.8 | 6.7 |
今後の治療方針と医師の指示
今後の治療方針としては、継続的な血圧管理と生活習慣の改善が中心となる。血圧値が安定してきているため、現在の内服薬(アムロジピン、カンデサルタン、アトルバスタチン)を継続しながら、さらなる降圧を目指す。また、肝機能障害と脂質異常症に対する治療も並行して行う。医師からは以下の指示が出ている:食事は減塩食(6g/日)の継続、運動は現在の病棟歩行(1日3回、各15分)を継続、禁煙・禁酒の継続、十分な睡眠の確保(7-8時間/日)である。さらに、退院時期については、血圧値の安定と生活習慣の改善が確認できれば、来週での退院を検討する方針である。退院後は2週間ごとの外来通院による経過観察を予定している。
本人と家族の想いと言動
A氏は「早く仕事に戻りたい」という発言が目立ち、入院による運動不足と職場での業務の遅れを気にしている様子である。入院当初は「明日の会議が重要なので出席させてほしい」と訴えていたが、主治医からの説明により安静の必要性を理解し、現在は治療に対して協力的である。しかし、長期の入院については消極的な態度を示しており、「部下たちが心配している」「できるだけ早く退院したい」といった発言が続いている。
妻は毎日面会に来ており、夫の健康状態を心配している。「今回の入院を機に、夫の生活習慣を改善させたい」と話し、特に仕事中心の生活と不規則な食生活について懸念を示している。また「これまで夫の健康管理に無関心だった」と自責の念を語っており、今後は食事の管理や服薬確認など、積極的に夫の健康管理をサポートしていきたいという意向を示している。
【ヘンダーソン】高血圧 入院7日目(0013)| 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
看護の攻略部屋wiki
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