【ヘンダーソン】高血圧 入院7日目(0013)| 10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ

ヘンダーソン

事例の要約

58歳男性のA氏は、大手IT企業の管理職として過重労働が続く中、職場健康診断で収縮期血圧210mmHg、拡張期血圧118mmHgと著明な上昇を指摘され、高血圧緊急症の診断で即日入院となった。入院後、降圧治療により血圧は徐々に安定し、生活習慣の改善に向けた指導を受けている事例。介入日は1月28日(入院7日目)である。

10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ

A氏は大手IT企業の管理職として20年以上勤務しており、30名の部下を統括する立場にある。性格は几帳面で仕事熱心であり、部下からの信頼も厚く、対人関係能力は高いと評価できる。医療者との意思疎通も良好で、治療方針についての理解や協力的な態度が見られる。表情や言動から、自身の考えや感情を適切に表現できている。

入院当初は翌日の重要会議への出席を強く希望するなど、仕事に対する強い責任感と焦りが見られたが、主治医による説明で安静の必要性を理解し、受容することができている。しかし、「早く仕事に戻りたい」「部下たちが心配している」という発言が継続しており、仕事に対する責任感とストレスを抱えている状況が伺える。

家族関係については、専業主婦の妻との2人暮らしであり、妻はキーパーソンとして毎日面会に来ている。妻は夫の健康状態を心配し、「今回の入院を機に、夫の生活習慣を改善させたい」という強い意向を示している。また、「これまで夫の健康管理に無関心だった」という自責の念を表現しており、今後は積極的に夫の健康管理をサポートしたいという意思を示している。夫婦間のコミュニケーションは良好であり、互いの気持ちを理解し合える関係性が築けている。

視力・聴力については問題なく、メガネや補聴器の使用は必要としていない。言語障害も認められず、医療者や家族との会話に支障はない。認知機能も正常で、治療や検査に関する説明内容を適切に理解し、必要な質問や確認を行うことができている。

面会に関しては、妻が毎日来訪しているが、長男や職場の同僚などの来訪状況については情報が得られていない。社会的な支援体制を把握するため、家族や職場との関係性についてさらな情報収集が必要である。

今後の看護介入としては、以下の点に注意が必要である。仕事に対するストレスや不安について傾聴の機会を設け、必要に応じて気持ちの表出を促す。妻との面会時には、夫婦でゆっくり話し合える環境を整え、互いの気持ちや考えを共有できるよう支援する。また、退院後の生活改善に向けて、夫婦で協力して取り組める具体的な方法について話し合いの機会を設ける。

職場との関係については、必要に応じて医療ソーシャルワーカーと連携し、職場復帰に向けた調整や支援について検討する。また、長期的な生活習慣の改善に向けて、外来での継続的なフォローアップ体制についても説明を行う必要がある。

ニーズの充足状況については、基本的なコミュニケーション能力は保たれており、家族や医療者との関係性も良好であることから、概ね充足していると判断される。しかし、仕事に関するストレスや不安の軽減、退院後の生活改善に向けた支援については、さらなる介入が必要である。

看護問題の明確化

#職場復帰への不安と焦りに関連したストレス状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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