【ヘンダーソン】大腿骨頸部骨折 骨粗鬆症(0011)| 6.適切な衣類を選び、着脱する

ヘンダーソン

事例の要約

自宅玄関での転倒により右大腿骨頸部骨折を受傷し、人工骨頭置換術を施行した78歳女性の介入14日目の事例である。

6.適切な衣類を選び、着脱する

A氏は入院前、全ての日常生活動作が自立しており、衣類の着脱も介助を要さない状態であった。しかし現在は、右大腿骨頸部骨折の術後により、衣類の着脱に看護師の介助が必要な状態となっている。活動意欲に関しては、「早く家に帰りたい」という発言があるものの、疼痛への不安から積極的な離床に躊躇する様子が見られている。

運動機能について、現在は歩行器を使用して5m程度の歩行は可能であるが、日常的な移動は看護師の全介助で車椅子を使用している状態である。麻痺の有無については明確な記載はないが、術前の状態や現在の症状からは麻痺の存在を示唆する情報は認められない。認知機能については、ミニメンタルステート検査(MMSE)の得点が入院前の29/30点から現在27/30点と軽度低下しているものの、日常会話でのコミュニケーションに支障はない。

点滴やルート類の使用状況については明確な記載がないが、術後7日目であることから、これらの医療機器による着脱動作への影響について確認が必要である。また、創部の状態は発赤や浸出液もなく経過良好で、抜糸も完了している。

体調面では、現在の体温は36.6℃と安定しており、発熱は認められない。吐気や倦怠感についての明確な記載はないが、術後の貧血(ヘモグロビン値9.2g/dL)や低アルブミン血症(3.0g/dL)が認められることから、これらが身体活動や着脱動作に影響を与えている可能性がある。

高齢者の特徴として、関節可動域の制限や筋力低下、バランス機能の低下といった加齢による身体機能の変化が、衣類の着脱動作に影響を与える可能性がある。特に術後の安静により、これらの機能低下が加速する可能性があることに注意が必要である。

看護介入として、まず疼痛管理を適切に行いながら、着脱動作時の姿勢や手順を工夫する必要がある。具体的には、座位での着脱を基本とし、術側への負担を最小限にする方法を検討する。また、本人の残存機能を活かした部分介助を心がけ、できる動作は自分で行えるよう支援することで、自立度の維持・向上を図る。衣類の選択においては、着脱しやすい前開きの衣類や、伸縮性のある素材を選択することも有効である。

リハビリテーションの進行に合わせて、徐々に自立度を高めていく必要があるが、その際には疼痛の程度や疲労感に注意を払い、無理のない範囲で進めることが重要である。また、夜間の更衣時には特に安全面に配慮し、転倒予防に留意する必要がある。

ニーズの充足状況について、現状では衣類の選択と着脱に関するニーズは充足されていないと判断される。術後の疼痛や活動制限により、着脱動作の自立度が低下しており、看護師の介助を必要としている。高齢者では、一度低下した身体機能の回復に時間を要するため、早期からの適切な介入と段階的な自立支援が必要である。

看護問題の明確化

#術後疼痛による運動機能低下に関連した更衣動作の自立困難

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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