【ヘンダーソン】大腿骨頸部骨折 骨粗鬆症(0011)| 12.達成感をもたらすような仕事をする

ヘンダーソン

事例の要約

自宅玄関での転倒により右大腿骨頸部骨折を受傷し、人工骨頭置換術を施行した78歳女性の介入14日目の事例である。

12.達成感をもたらすような仕事をする

A氏は専業主婦として、80歳の夫との二人暮らしの中で家事全般を担っていた。特筆すべき点として、地域の高齢者サークルの世話役を務めており、社会的役割を積極的に果たしていた。几帳面な性格から日常生活を規則正しく送り、社交的な性格を活かして地域社会との関わりを持ちながら、充実した生活を送っていた。

現在の入院生活において、右大腿骨頸部骨折後の活動制限により、これまで担ってきた役割の遂行が困難な状況となっている。特に、日常生活動作の自立度の低下は、A氏の自己効力感に大きな影響を与えている。「夫に迷惑をかけて申し訳ない」という発言からは、家庭内での役割が果たせないことへの心理的負担が読み取れる。また、地域活動への参加が制限されることで、社会的役割の喪失感も懸念される。

78歳という年齢を考慮すると、骨折による身体機能の低下は、これまでの役割遂行に大きな影響を及ぼす可能性がある。特に、**重度骨粗鬆症(T-score: -3.2)**の診断は、今後の活動範囲や役割の再獲得に影響を与える要因となる。また、入院前から3kgの体重減少が見られ、術後の回復にも影響を及ぼす可能性がある。

リハビリテーションの進行状況として、現在は歩行器使用下で5m程度の歩行が可能となっているが、疼痛への不安から積極的な離床に躊躇する様子が見られる。この心理的バリアは、役割再獲得への意欲にも影響を与える可能性がある。

家族支援の状況として、夫は毎日面会に来ており、長女も週2-3回の頻度で支援している。しかし、80歳の夫からは「私も年だから介護は不安だ」という発言があり、退院後の役割分担について家族間での調整が必要な状況である。

必要な看護介入として、以下の対応が求められる: 段階的な日常生活動作の自立支援を通じて、できることを増やしていく達成感を支援する必要がある。特に、疼痛コントロールを適切に行いながら、活動範囲の拡大を図ることが重要である。また、入院中でも可能な役割(例:自身の整容や食事の自己摂取など)を見出し、それを遂行できるよう支援することで、自己効力感の維持・向上を図る。

退院後の生活を見据えて、家族との協力体制の構築が重要である。特に、高齢の夫との役割分担について、長女を含めた具体的な支援計画の立案が必要である。また、地域の高齢者サークルとの関係性を維持できるよう、退院後の段階的な社会参加の方法について検討する。

観察を継続すべき点として、リハビリテーションへの意欲や達成度、疼痛による活動制限の程度、精神状態の変化について、定期的な評価が必要である。また、家族の支援状況や疲労度についても継続的な観察が重要である。

現時点でのニーズの充足状況について、達成感に関するニーズは充足されていない状態である。これは、身体機能の低下による役割遂行の制限と、それに伴う自己効力感の低下が主な要因となっている。特に、家庭内での役割喪失と社会活動の制限は、A氏の生活の質に大きな影響を与えている。

看護問題の明確化

#右大腿骨頸部骨折後の活動制限に関連した役割機能障害
#疼痛・活動制限による自己効力感の低下に関連した社会的役割遂行障害のリスク状態
#高齢夫婦世帯における介護力不足に関連した退院後の役割調整障害のリスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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