【ヘンダーソン】大腿骨頸部骨折 骨粗鬆症(0011)| 3.あらゆる排泄経路から排泄する

ヘンダーソン

事例の要約

自宅玄関での転倒により右大腿骨頸部骨折を受傷し、人工骨頭置換術を施行した78歳女性の介入14日目の事例である。

3.あらゆる排泄経路から排泄する

A氏の排泄状況について、入院前は自立していたが、現在は車椅子で多目的トイレまでの移動と排泄動作に看護師の介助を要する状態である。術後の活動量低下に伴う便秘に対してセンノシド12mgを使用している状況である。排便回数、性状、量についての具体的な記載はなく、排便コントロールの評価のために詳細な情報収集が必要である。

水分摂取量は入院前の1日1.2Lから現在は800ml程度まで減少している。必要水分量は体重から算出すると、維持輸液量の計算式(体重×30ml/日)では1,350ml/日となる。また、高齢者の必要水分量の目安である30-35ml/kg/日を用いると1,350-1,575ml/日となる。さらに、術後の回復期であることを考慮すると、不感蒸泄や発汗による喪失も加味する必要がある。これらから、現在の水分摂取量は必要量を充足できていない状態である。排尿回数や1回排尿量、尿の性状についての情報が不足しており、正確な水分出納の評価のために観察が必要である。

発汗状況について明確な記載はないが、現在の体温は36.6℃と安定しており、発熱による過度の発汗は見られていない。しかし、リハビリテーション時の発汗状況や日常生活における発汗の程度についての観察が必要である。

排泄に影響を与える要因として、麻痺の記載はないが、術後の疼痛により移動や排泄動作が制限されている。腹部膨満感や腸蠕動音についての情報が不足しており、便秘の評価と腸管機能の状態把握のために観察が必要である。高齢者では腸管運動の低下や腹筋力の低下により便秘を生じやすく、また、便意や尿意を感じにくくなるという加齢変化にも注意が必要である。

血液データでは、尿素窒素(BUN)24mg/dL(基準値8-20mg/dL)と上昇を認める。クレアチニン(Cr)は0.9mg/dL(基準値0.4-1.1mg/dL)と基準値内であるが、糸球体濾過量(GFR)の記載がなく、腎機能の正確な評価のために情報収集が必要である。BUNの上昇は、水分摂取量の不足を反映している可能性がある。

看護介入として、まず詳細な排泄状況の観察と記録が必要である。排便については、回数、性状、量を把握し、腹部の触診と腸蠕動音の聴取を定期的に行う。排尿については、1回排尿量、回数、性状を観察し、必要に応じて尿量測定を行う。水分摂取を促進するため、飲みやすい水分の種類や温度を確認し、定時での声かけを行う。また、日中の活動量を維持しながら、排泄のタイミングを考慮したトイレ誘導を行う。特に、疼痛による排泄行動への影響を最小限にするため、鎮痛薬の使用タイミングを工夫する必要がある。

ニーズの充足状況について、現状では排泄に関するニーズは充足されていないと判断される。水分摂取量の不足、活動量の低下による便秘傾向、排泄動作における介助の必要性など、複数の課題が存在する。特に高齢者では、これらの問題が相互に影響し合い、排泄障害が遷延化するリスクが高いため、包括的な支援が必要である。

看護問題の明確化

#手術後の疼痛及び活動量低下に関連した排便コントロール障害
#必要量以下の水分摂取に関連した体液量不足のリスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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