【ヘンダーソン】大腿骨頸部骨折 骨粗鬆症(0011)| 7.体温を生理的範囲内に維持する

ヘンダーソン

事例の要約

自宅玄関での転倒により右大腿骨頸部骨折を受傷し、人工骨頭置換術を施行した78歳女性の介入14日目の事例である。

7.体温を生理的範囲内に維持する

A氏のバイタルサインは、来院時にはBP 146/88mmHg、HR 88/min、BT 36.8℃であり、現在はBP 128/74mmHg、HR 76/min、BT 36.6℃と安定している。手術侵襲に対する生体反応として、術後の炎症反応を示す血液データでは、白血球数7,800/μL(基準値4,000-9,000/μL)とほぼ正常範囲内であるが、CRPは術後7日目でも1.2mg/dL(基準値0-0.3mg/dL)と基準値を超えている状態が続いている。また、アルブミン値3.0g/dL(基準値3.8-5.2g/dL)、ヘモグロビン値9.2g/dL(基準値12.0-16.0g/dL)と低値であり、これらは創傷治癒の遅延因子となり得る。

術創部は発赤や浸出液もなく経過良好で、抜糸も完了している。感染症の既往やアレルギーの情報は特になく、現時点で感染徴候は認められていない。しかし、高齢者では感染症に対する防御機能が低下しており、発熱などの症状が現れにくい特徴があるため、継続的な観察が必要である。

療養環境の温度、湿度、空調に関する具体的な情報は記載されていないが、高齢者は温度変化への適応能力が低下しているため、室温や環境調整が重要である。特に、体温調節機能の低下により、環境温の変化の影響を受けやすいことに注意が必要である。

日常生活動作について、現在は歩行器を使用して5m程度の歩行は可能だが、日常的な移動は看護師の全介助で車椅子を使用している。活動量が著しく低下していることから、末梢循環の低下や体温維持機能への影響が懸念される。また、水分摂取量が入院前の1日1.2Lから現在は800ml程度まで減少しており、体温調節に必要な水分バランスが十分でない可能性がある。

看護介入として、まず定期的なバイタルサインの測定と記録を継続する必要がある。特に、高齢者は体温調節機能が低下しているため、環境温の変化に応じた室温管理と衣類の調整が重要である。適切な室温(概ね24-26℃)と湿度(50-60%)の維持に努め、必要に応じて空調の調整や衣類の着脱を行う。また、活動量の低下による末梢循環障害を予防するため、リハビリテーションの進行に合わせた運動促進と、必要に応じたマッサージなどの介入も検討する。

水分摂取については、医師の指示である1日1000ml以上の確保に向けて、定期的な声かけと摂取量の記録を行う。また、感染予防の観点から、手指衛生の徹底と創部の清潔保持にも留意する必要がある。創部の観察は継続し、わずかな変化も見逃さないよう注意を払う。

ニーズの充足状況について、現時点では体温は生理的範囲内で安定しており、感染徴候も認められていないことから、体温調節に関するニーズは概ね充足されていると判断される。しかし、高齢による体温調節機能の低下と活動量の減少、水分摂取量の不足は、体温維持機能に影響を与える可能性があるため、継続的な観察と予防的介入が必要である。

看護問題の明確化

#手術創治癒遅延と高齢に関連した術後感染のリスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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