【ヘンダーソン】大腿骨頸部骨折 骨粗鬆症(0011)| 2.適切に飲食する

ヘンダーソン

事例の要約

自宅玄関での転倒により右大腿骨頸部骨折を受傷し、人工骨頭置換術を施行した78歳女性の介入14日目の事例である。

2.適切に飲食する

A氏は身長153cm、体重45kgの78歳女性である。入院前と比較して体重が3kg減少しており、現在のBMIは19.2kg/m²である。これは低体重の境界域であり、術後の身体回復に影響を与える可能性がある栄養状態である。必要栄養量について、基礎エネルギー消費量は年齢と体格から推定すると約1,100kcal/日程度であるが、手術侵襲による異化亢進と創傷治癒のために25-30%程度のストレス係数を考慮する必要がある。さらに、現在のリハビリテーション活動による活動係数1.2を加味すると、必要エネルギー量は約1,650-1,700kcal/日と算出される。また、創傷治癒と筋力維持のために必要な蛋白質量は1.2-1.5g/kg/日(54-67.5g/日)が目標となる。特に血清アルブミン値が3.0g/dLと低値であることから、十分な蛋白質摂取が重要である。

食事摂取状況について、入院前は夫と共に1日3食を規則正しく摂取していた。現在は配膳の介助が必要であるものの、摂取は自立している。嚥下機能に問題はなく、食事に関するアレルギーの情報もない。しかし、食欲の程度や実際の食事摂取量、口腔内の状態についての具体的な情報が不足しており、詳細な評価が必要である。高齢者では、加齢に伴う味覚・嗅覚の低下や、義歯の状態が食事摂取に影響を与える可能性があるため、これらの情報収集も重要である。

水分摂取量は入院前の1日1.2Lから現在は800ml程度まで減少している。医師からは1日1000ml以上の摂取が指示されているが、現状では充足できていない。嘔気や嘔吐の訴えは記載されていないが、疼痛による食欲や水分摂取への影響がないか確認が必要である。

血液データからは、栄養状態の低下を示す複数の指標が認められる。総蛋白は5.8g/dL(基準値6.7-8.3g/dL)、アルブミンは3.0g/dL(基準値3.8-5.2g/dL)と低下している。また、ヘモグロビンも9.2g/dL(基準値12.0-16.0g/dL)と貧血を示している。中性脂肪値の情報は不足しているが、現在の栄養状態は手術後の回復過程としては不十分な状態であると考えられる。特に、アルブミン値の低下は創傷治癒の遅延リスクとなる。

看護介入として、まず食事摂取量の正確な把握と記録を行う必要がある。特に必要栄養量の充足状況を評価するため、摂取エネルギー量と蛋白質量の算出を行う。食事時の姿勢保持や疼痛による摂取への影響を評価し、必要に応じて介助方法を工夫する。また、主食・主菜・副菜の摂取バランスを確認し、特に蛋白質源となる主菜の摂取を促す働きかけが重要である。水分摂取については、患者の好みの飲み物を把握し、定期的な声かけと摂取量の記録を行う。口腔内の観察と清潔保持も重要である。また、栄養サポートチームと連携し、現在の活動量と回復段階に応じた適切な栄養摂取量の設定と、必要に応じた栄養補助食品の検討を行う。

身体活動レベルについて、現在は歩行器使用下で5m程度の歩行が可能であるが、日常生活での移動は車椅子を使用している。この活動量の低下は消費エネルギー量に影響を与えるが、一方で手術侵襲からの回復には十分なエネルギーと栄養素の摂取が必要である。リハビリテーションの進行に合わせて、段階的に活動量を増やしていく中で、適切な栄養摂取量の調整が必要となる。

ニーズの充足状況について、現状では栄養に関するニーズは充足されていないと判断される。体重減少、血清アルブミン値の低下、水分摂取量の不足などが認められ、手術後の回復過程において必要な栄養状態が維持できていない。特に高齢者では、低栄養状態が容易に進行し、回復が遅延する可能性があるため、積極的な介入が必要である。

看護問題の明確化

#手術侵襲及び活動量低下に関連した栄養摂取不足

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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