【ヘンダーソン】脳梗塞 左片麻痺(0003)| 14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる

ヘンダーソン

事例の要約

85歳の男性A氏は、突然の左半身麻痺と言語障害により発症から2時間以内にrt-PA療法を実施し、その後リハビリテーションを行っている右中大脳動脈領域の脳梗塞の事例。介入は入院7日目である。

14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる

A氏は85歳で、高校数学教師として勤務した経験を持ち、退職後も地域の学習支援ボランティアとして活動するなど、知的好奇心が旺盛な生活を送っていた。高血圧と糖尿病の既往があり、妻による服薬管理のもと、治療を継続してきた経緯がある。今回の脳梗塞発症後は、リハビリテーションに意欲的に取り組んでおり、学習への意欲は保たれている。

認知機能については、長谷川式認知症スケール25点、ミニメンタルステート検査26点と軽度の低下を認めるものの、医療者の指示理解は良好である。特に見当識と記憶の項目で減点が見られるが、これは環境の変化や睡眠障害の影響も考えられる。発症前は几帳面な性格で、自身の健康管理にも関心を持っていたが、現在は「こんな状態では家族に迷惑をかけるばかりだ」という発言が聞かれ、疾病受容の過程にあると考えられる。

家族の支援体制については、82歳の妻をキーパーソンとし、長男家族との3世代同居である。妻は介護への参加意思を示しており、医療者の指導を熱心に聞き、介助方法の習得に意欲的である。長男家族も「父のことは家族で支えていきたい」と協力的な姿勢を示している。

必要な看護介入として、まず脳梗塞の病態や治療方針、リハビリテーションの目的について、本人の理解度に合わせた説明が重要である。特に、高齢による学習速度の低下を考慮し、理解しやすい言葉を選び、必要に応じて書面での説明を併用する必要がある。また、服薬管理や生活上の注意点について、具体的な事例を用いて説明することで、実践的な理解を促す。

家族への教育的支援も重要である。介助方法や観察ポイント、緊急時の対応などについて、実践を交えながら段階的に指導していく。特に妻は高齢であることから、介護負担に配慮しながら、無理のない範囲での支援方法を検討する必要がある。

継続的な観察が必要な項目として、認知機能の変化、学習内容の理解度と定着度、家族の介護技術の習得状況が挙げられる。また、疾病受容の過程や心理状態の変化についても注意深く観察する必要がある。

退院後の生活を見据え、介護保険サービスの利用方法や地域の支援体制についても、家族を含めた学習の機会を設ける必要がある。また、これまでの教師としての経験を活かした新たな活動の可能性についても、リハビリテーションの進捗に合わせて検討していく。

以上のことから、学習に関するニーズは、本人の学習意欲と家族の協力的な姿勢により、基本的な部分では充足されつつある。しかし、高齢による認知機能の低下や環境の変化による影響もあり、継続的な支援と観察が必要な状態である。また、退院後の生活に向けた具体的な学習内容の確立と、家族全体での理解の深化が必要な状況である。

看護問題の明確化

なし

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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