本事例の要約
85歳の男性A氏は、突然の左半身麻痺と言語障害により発症から2時間以内にrt-PA療法を実施し、その後リハビリテーションを行っている右中大脳動脈領域の脳梗塞の事例。介入は入院7日目である。
看護計画 #1
看護問題
脳梗塞に伴う左半身麻痺による嚥下機能低下・呼吸機能低下に関連した非効果的呼吸のリスク状態
長期目標(退院時)
誤嚥性肺炎を併発することなく、安全に経口摂取ができ、呼吸状態が安定した状態で自宅退院できる
短期目標(術後10日目)
痰の貯留や肺雑音の出現なく、酸素飽和度96%以上を維持できる
食事摂取時に咳き込みや湿性咳嗽がなく、7割以上摂取できる
≪O-P≫観察計画
・呼吸数、呼吸の深さ、呼吸パターンの観察
・酸素飽和度の測定値と経時的変化
・呼吸音の性状と左右差の有無
・咳嗽の強さと痰の性状、量、色調
・嚥下時の様子(むせ、咳込み、声質の変化)
・食事摂取時の姿勢保持の状況
・発熱の有無と体温の変動
・バイタルサインの変動
・意識レベルと覚醒状態
・夜間の体動や不穏の程度
・口腔内の状態(乾燥、残渣、舌苔)
≪T-P≫援助計画
・2~3時間ごとの体位変換と深呼吸の促進
・食事前の口腔ケアの実施
・食事時のベッド挙上(30度)と姿勢保持の介助
・とろみ剤を用いた適切な食事形態の調整
・食事中及び食後30分間の継続的な観察
・頻回な口腔内吸引と痰の除去
・背部温罨法による呼吸筋のリラックス促進
・夜間の体位調整と安楽な体位の保持
・リハビリテーション前後の呼吸状態確認
・必要時の吸入と呼吸リハビリテーションの実施
≪E-P≫教育・指導計画
・効果的な咳嗽方法の指導
・食事時の正しい姿勢保持方法の説明
・とろみ剤の適切な使用方法の指導
・口腔ケアの重要性と具体的方法の説明
・呼吸機能改善のための深呼吸練習方法の指導
・家族への安全な食事介助方法の指導
看護計画 #2
看護問題
脳梗塞に伴う左半身麻痺・筋力低下に関連した転倒・転落のリスク状態
長期目標(退院時)
安全に移動・移乗動作が行え、転倒することなく基本的な日常生活動作が遂行できる
短期目標(術後10日目)
ナースコールを適切に使用し、移動・移乗時に介助を求めることができる
平行棒内歩行時に膝折れすることなく10分間の立位保持ができる
≪O-P≫観察計画
・意識レベルと見当識の状態
・左半身の筋力と関節可動域の変化
・立位・座位時のふらつきやバランスの状態
・移乗動作時の動作パターンと安定性
・疲労の程度と活動耐久性
・夜間の不穏や不眠の状況
・移動時の表情や発言内容
・血圧値と起立時の変動
・靴やスリッパの適合状態
・環境要因(床の状態、照明の明るさ、障害物の有無)
・ナースコールの協力の有無
≪T-P≫援助計画
・ベッド柵3点設置と固定確認
・ポータブルトイレの適切な配置と高さ調整
・夜間の足元灯設置
・ナースコールの手の届く位置への設置
・移乗動作時の見守りと必要時の介助
・履物の適合確認と調整
・病室内の環境整備と障害物の除去
・麻痺側上下肢の支持と保護
・疲労度に応じた活動と休息の調整
・病棟内移動時の車椅子による安全な移送
≪E-P≫教育・指導計画
・移動・移乗時のナースコール使用の必要性の説明
・安全な移乗動作の手順と方法の指導
・麻痺側上下肢の保護方法の説明
・転倒予防に適した履物の選択方法の指導
・疲労時の休息の必要性と対処方法の説明
・家族への安全な介助方法の指導
事例の目次
【ヘンダーソン】脳梗塞 左片麻痺(0003)| 今回の内容
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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