【ヘンダーソン】脳梗塞 左片麻痺(0003)| 4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する

ヘンダーソン

事例の要約

85歳の男性A氏は、突然の左半身麻痺と言語障害により発症から2時間以内にrt-PA療法を実施し、その後リハビリテーションを行っている右中大脳動脈領域の脳梗塞の事例。介入は入院7日目である。

4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する

A氏は右中大脳動脈領域の脳梗塞により、左半身に重度の運動機能障害を呈している。ブルンストロームテストでは上肢Ⅲ、手指Ⅲ、下肢Ⅳと評価され、特に上肢と手指の機能障害が顕著である。発症前は1日4000歩程度の散歩や盆栽の手入れなど、活動的な生活を送っていたが、現在は日常生活動作に著しい制限が生じている。機能的自立度評価表(FIM)では運動項目が45点と低値であり、基本的な日常生活動作に介助を要する状態である。

移動能力については、現在は平行棒内での介助歩行の段階であり、病棟内の移動には車椅子を使用している。ポータブルトイレへの移乗動作は看護師の見守りと軽介助を要し、バランス機能の低下により転倒のリスクが高い状態にある。また、85歳という高齢による筋力低下や骨密度の減少も、姿勢保持や移動能力に影響を与えている。

認知機能についてはMMSE 26点、HDS-R 25点と軽度の低下が認められるものの、医療者の指示理解は良好であり、リハビリテーションにも意欲的に取り組んでいる。しかし、環境の変化による不眠や夜間の不穏が見られ、これらが日中の活動性や姿勢保持に影響を与える可能性がある。

呼吸機能については、経皮的酸素飽和度は97%と維持できているが、左半身麻痺による体動制限や長期臥床により、無気肺や呼吸機能低下のリスクがある。また、嚥下機能の低下(MWST:3点)により、誤嚥性肺炎のリスクも存在する。

必要な看護介入として、まず転倒予防のための環境整備が重要である。ベッド柵の使用や夜間のポータブルトイレの位置調整、適切な照明の確保などを行う。また、関節拘縮予防のため、理学療法士と連携しながら早期離床を促進し、臥床時には関節可動域訓練や体位変換を定期的に実施する。座位保持訓練や立位訓練も段階的に進め、姿勢保持能力の向上を図る。

追加で収集が必要な情報として、各関節の可動域制限の有無、筋力テスト(MMT)の詳細な評価、起居動作時の具体的な介助量、疼痛の有無と程度、住環境の詳細などが挙げられる。これらの情報は、退院後の生活を見据えた介入に必要である。

ニーズの充足状況としては、左半身麻痺による著しい運動機能障害があり、基本的な姿勢保持や移動に介助を要する状態が続いている。リハビリテーションは進められているものの、自立した日常生活動作の遂行には至っておらず、姿勢保持と移動に関するニーズは充足されていない状態である。継続的なリハビリテーションと段階的な自立支援が必要な状況である。

看護問題の明確化

# 脳梗塞に伴う左半身麻痺・筋力低下に関連した転倒・転落のリスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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