【ヘンダーソン】心不全 入院3日目(0005)| 5.睡眠と休息をとる

ヘンダーソン

事例の要約

慢性心不全の急性増悪により緊急入院となった72歳男性の事例である。入院3日目において、薬物療法と水分・塩分制限により症状の改善を認めており、今後は再発予防に向けた生活指導と退院支援を要する事例である。

5.睡眠と休息をとる

A氏の睡眠状況について、入院前は1週間ほど前から呼吸困難感により夜間の睡眠が妨げられ、起座位での睡眠を強いられていた状態であった。眠剤の使用はなく、それまでの睡眠パターンについての詳細な情報は得られていない。72歳という年齢を考慮すると、加齢に伴う睡眠パターンの変化(睡眠の質の低下、中途覚醒の増加、深睡眠の減少)が存在する可能性があり、これらの評価も必要である。

現在の睡眠状況は、治療により呼吸困難感が改善し、1-2個の枕を使用して仰臥位での睡眠が可能となっている。入眠は良好で、眠剤は使用していない。ただし、利尿薬の使用による夜間の排尿のため2-3回程度の覚醒がある状態である。夜間頻尿による睡眠の中断は、睡眠の質に影響を与える重要な要因となっている。

疼痛や掻痒感に関する情報は得られていないため、これらの症状の有無とその睡眠への影響について評価が必要である。安静度については、病棟内歩行は見守りで可能であるが、心不全症状により活動が制限されている状態である。過度な活動による症状増悪を防ぐため、活動と休息のバランスを適切に保つ必要がある。

疲労の状態について、活動時には息切れを認め、着替えなどの日常生活動作でも軽度の息切れがみられる。これらの症状は日中の活動による疲労の蓄積につながる可能性がある。また、夜間頻尿による睡眠の中断は、日中の疲労回復を妨げる要因となりうる。

療養環境への適応状況について、穏やかな性格であり、医療者とのコミュニケーションは良好である。認知機能は正常で、環境への適応に支障をきたすような認知機能の低下は認められていない。一方で、「また症状が悪くなるのではないか」という不安を表出しており、この心理的ストレスが睡眠に影響を与える可能性がある。入院環境特有のストレス要因(環境音、照明、他患者の存在など)に関する情報は不足しており、評価が必要である。

必要な看護介入として、以下の項目が重要である。夜間の排尿パターンを把握し、睡眠への影響を最小限にするための対策を検討する。具体的には、日中の水分摂取時間の調整や、夜間のトイレ移動時の安全確保が必要である。就寝時の体位調整を行い、呼吸困難感の予防に努める。不安の軽減に向けて、症状や治療に関する理解を深めるための説明を行う。療養環境の調整(適切な室温、照明、騒音の軽減など)を行い、良好な睡眠環境の確保に努める。日中の活動と休息のバランスを調整し、過度な疲労を予防する。

現在の睡眠と休息に関するニーズは、部分的にしか充足されていない状態である。呼吸困難感の改善により仰臥位での睡眠が可能となり、入眠も良好であるが、夜間頻尿による中途覚醒が存在する。また、疾患に対する不安や入院環境への適応など、心理的側面での課題も残されている。しかし、患者の理解力は良好で、症状も改善傾向にあることから、適切な支援により睡眠の質の向上が期待できる状態である。

看護問題の明確化

#疾患と治療に伴う身体的・心理的ストレスに関連した睡眠パターンの障害

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

看護の攻略部屋wiki

看護学生をお助け | 看護過程の見本 | 完全無料でコピー&ペースト(コピペ)OK


コメント

タイトルとURLをコピーしました