【ヘンダーソン】心不全 入院3日目(0005)| 6.適切な衣類を選び、着脱する

ヘンダーソン

事例の要約

慢性心不全の急性増悪により緊急入院となった72歳男性の事例である。入院3日目において、薬物療法と水分・塩分制限により症状の改善を認めており、今後は再発予防に向けた生活指導と退院支援を要する事例である。

6.適切な衣類を選び、着脱する

運動機能については、心不全による活動耐性の低下が認められるものの、上肢や体幹の可動域制限はなく、着脱動作に必要な基本的な運動機能は保持されている。心不全の症状として入院時には呼吸困難があったが、治療により改善傾向にあり、現在は上着の着脱時に軽度の息切れを認める程度となっている。ただし、この息切れについては継続的な観察が必要である。

認知機能は正常で、着脱の手順や季節・場面に応じた衣類の選択に支障はない。麻痺は認められず、四肢の感覚障害もないため、衣類の質感や温度を適切に知覚できる状態である。活動意欲は良好で、「きちんと管理していきたい」という発言にみられるように、セルフケアに対して前向きな姿勢を示している。

点滴に関しては、フロセミドの静脈注射が1日2回実施されているが、短時間の投与であり、着脱動作の大きな妨げとはなっていない。ただし、点滴実施中の着替えについては、ルート類の取り扱いに注意が必要であり、必要に応じて看護師による声かけや見守りを実施する必要がある。

身体状態については、体温は36.5度と発熱はなく、吐気の訴えもない。しかし、心不全による倦怠感が残存している可能性があり、特に労作時の症状出現に注意が必要である。入院3日目の時点で、両下肢の浮腫は改善傾向にあるものの残存しており、靴下やズボンの着脱時に圧迫による不快感を生じる可能性がある。

着脱動作の自立度については、時間をかければ自立して行えているが、上着の着脱時に軽度の息切れがみられることから、急いだ動作は避け、必要に応じて休憩を取りながら実施することが望ましい。特に心不全患者の特徴として、体位変換や上肢の挙上による心負荷の増大に注意が必要である。

72歳という年齢を考慮すると、加齢による筋力低下や関節の柔軟性の低下が潜在的にあると考えられる。現時点では着脱動作に大きな支障は来していないが、長期的な視点では、これらの加齢変化が着脱動作に影響を与える可能性があることを念頭に置く必要がある。

看護介入としては、以下の点に注意を払う必要がある。息切れ時の休憩の取り方や、効率的な着脱方法について指導を行う。点滴実施中の着替えについては、安全な方法を具体的に説明する。また、心不全症状の悪化兆候(呼吸困難の増強、浮腫の増加、過度の倦怠感)がないか、着脱動作時に特に注意深く観察を行う。

継続的な観察が必要な点として、活動時の呼吸状態、疲労度、浮腫の程度、動作時のバランスの状態が挙げられる。また、季節の変わり目には、適切な衣類選択ができているか確認する必要がある。

ニーズの充足状況については、現時点では必要最小限の介助で衣類の着脱が行えており、基本的なニーズは充足されていると判断できる。ただし、心不全症状の変動により、状態が変化する可能性があるため、継続的な観察と評価が必要である。

看護問題の明確化

なし

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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