【ヘンダーソン】脳梗塞 左片麻痺(0003)| 1.正常に呼吸する

ヘンダーソン

事例の要約

85歳の男性A氏は、突然の左半身麻痺と言語障害により発症から2時間以内にrt-PA療法を実施し、その後リハビリテーションを行っている右中大脳動脈領域の脳梗塞の事例。介入は入院7日目である。

1.正常に呼吸する

呼吸状態について、入院時のバイタルサインでは経皮的酸素飽和度が96%であり、現在は97%と維持できている。しかし、嚥下機能の低下(水飲みテスト3点)により誤嚥のリスクが高く、不顕性誤嚥による肺炎発症の可能性がある。加齢による呼吸筋の筋力低下や肺の弾性低下も誤嚥性肺炎のリスクを高める要因となる。また、左半身麻痺により体動が制限され、特に夜間臥床時には背臥位での圧迫により換気量が低下する可能性がある。

喫煙歴については20歳から60歳まで1日20本程度の喫煙があり、40年の喫煙歴により慢性的な気道粘膜の損傷や繊毛運動の低下が予測される。これらは痰の排出障害や気道感染のリスク因子となる。現在は禁煙できているものの、長期の喫煙影響による慢性閉塞性肺疾患の可能性も考慮する必要がある。

嚥下機能の低下に対しては、食事時の体位を30度挙上とし、とろみ食を提供することで誤嚥予防を図っている。しかし、夜間の不眠や不穏により体動が増加する時間帯では、誤嚥のリスクが高まる。また、85歳という高齢であることから、咳反射や嚥下反射の低下も予測され、不顕性誤嚥のリスクが上昇する。

看護介入として、以下の対応が必要である。まず、定期的な呼吸音の聴取により、肺雑音の有無や左右差を確認する。特に背側の呼吸音聴取を丁寧に行い、無気肺や肺炎の早期発見に努める。体位変換は2時間ごとに実施し、深呼吸を促すことで、換気量の維持と気道分泌物の移動を促進する。嚥下訓練は言語聴覚士と連携しながら実施し、食事時の体位や食形態の調整を継続する。また、口腔ケアを毎食後に実施し、口腔内細菌数の減少を図る必要がある。

追加で収集が必要な情報として、呼吸数の詳細な観察記録、肺雑音の性状と部位、痰の性状や量、咳嗽の強さ、住環境における粉塵やアレルギー物質の有無、胸部レントゲン所見などが挙げられる。これらの情報は、呼吸器合併症の予防と早期発見に重要である。

現時点での呼吸に関するニーズの充足状況としては、経皮的酸素飽和度は維持できているものの、嚥下機能低下や活動制限による呼吸器合併症のリスクが高く、継続的な観察と予防的介入が必要な状態である。そのため、呼吸に関するニーズは部分的な充足に留まっていると判断される。

看護問題の明確化

# 脳梗塞に伴う左半身麻痺による嚥下機能低下・呼吸機能低下に関連した非効果的呼吸のリスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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