【ヘンダーソン】慢性膵炎 入院2日目(0019)| 11.自分の信仰に従って礼拝する

ヘンダーソン

本事例の要約

慢性膵炎の急性増悪で緊急入院となった65歳男性の事例。強い腹痛、背部痛、嘔吐を主訴に救急搬送され、入院となる。長年のアルコール多飲が原因と考えられる。入院後は絶食・補液管理となり、疼痛コントロールを実施している。介入日は6月15日(入院2日目)である。

11.自分の信仰に従って礼拝する

A氏は65歳の男性で、慢性膵炎の急性増悪により入院中である。提供された情報によれば、「信仰については特になく、宗教的な配慮は必要としていない」と明記されている。このことから、A氏は特定の宗教的信仰を持たないことが推測される。また、病室の位置や向きについての強いこだわりはなく、療養環境の調整は容易であると記載されていることからも、宗教的理由による環境調整の必要性は低いと考えられる。

信仰による食事制限に関しては、入院前の食事習慣として1日3食摂取しており、特別な食事制限の記載はない。ただし、現在は膵臓の安静のため絶食管理となっている。食事再開後の食事内容に関する宗教的な制限や希望についての具体的な記載はないが、前述の通り特定の信仰がないことから、食事に関する宗教的配慮の必要性は低いと考えられる。

治療法の制限に関しても、宗教的理由による治療の拒否や特定の医療行為への制限についての記載はない。A氏は医療者に対して協力的な態度を示しており、現在行われている治療(補液療法、疼痛コントロールのためのペンタゾシン投与など)について拒否する様子は見られていない。

一方で、A氏の価値観や信念については、いくつかの側面が垣間見える。A氏は中小企業の経理部長として責任ある立場で働いており、「早く復帰しないと部下に迷惑がかかる」という発言からは、仕事に対する責任感や義務感という価値観が読み取れる。また、几帳面で真面目な性格であることから、規律や秩序を重んじる傾向があると推測される。

A氏の生活習慣として、仕事のストレスから休日の飲酒量が多い傾向にあり、「仕事のストレスを解消する唯一の方法が飲酒だった」と述べていることから、ストレス対処法としての飲酒に価値を置いていた可能性がある。一方で、「こんなに痛いなら、もう酒は控えなきゃいけないのかな」「医者の言うことを聞いておけばよかった」という発言からは、健康に対する価値観が再評価されつつある様子も伺える。

加齢に関連する側面としては、A氏は65歳であり、この年代では人生の振り返りや価値観の再構築が行われることがある。特に健康問題や入院という経験を通して、これまでの生活習慣や価値観を見直す機会となっている可能性がある。「医者の言うことを聞いておけばよかった」という後悔の念からは、過去の選択を振り返り、今後の生き方を再考する過程にあることがうかがえる。

看護介入としては、まずA氏の価値観や信念を尊重した関わりが重要である。特定の宗教的信仰はないものの、個人の価値観や人生観は看護ケアに反映されるべき重要な要素である。A氏が持つ仕事への責任感や、健康に対する新たな価値観を支持し、それらが今後の治療や生活改善に活かされるよう支援する。

また、A氏の内省的な言動(「医者の言うことを聞いておけばよかった」など)を受け止め、過去の選択を責めるのではなく、今後の健康的な生活への変化を肯定的に捉えられるよう支援する。特に飲酒習慣の見直しについては、単なる制限としてではなく、健康を大切にするという価値観に基づく前向きな選択として捉えられるよう働きかける。

A氏の妻や家族との関係性も重要な側面である。妻は「夫の健康のためなら何でもします」と協力的であり、長男と長女も父親の健康を気にかけている。このような家族との絆や支え合いの価値観も、A氏の精神的支柱となっている可能性がある。家族の支援を活かしながら、A氏の価値観に沿った回復過程をサポートすることが望ましい。

さらに、A氏が現在直面している飲酒習慣の見直しや生活様式の変化に対して、その過程で生じる価値観の葛藤や不安を表出できる機会を提供することも重要である。特にストレス対処法としての飲酒に代わる新たな方法(例:趣味活動、リラクセーション技法など)を探索する支援を行うことで、健康と仕事のバランスを取りながら自分らしく生きるための選択肢を広げることができる。

退院後の生活を見据えた支援も必要である。職場復帰に向けた不安や、生活習慣の変更に関する懸念について話し合い、A氏の価値観に沿った現実的な計画を一緒に考える。必要に応じて、産業医との連携や断酒会などの社会資源についての情報提供も行う。

以上のアセスメントから、A氏の「自分の信仰に従って礼拝する」という狭義の宗教的ニーズは特定の信仰がないため該当せず、評価対象外である。一方で、より広い意味での「価値観や信念に基づいて生きる」というニーズについては、現在の入院を契機に健康観や生活習慣に関する価値観の再評価が行われている過程にあり、このプロセスを支援することが重要である。

看護問題の明確化

なし

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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