【ヘンダーソン】脳梗塞 左片麻痺(0003)| 5.睡眠と休息をとる

ヘンダーソン

事例の要約

85歳の男性A氏は、突然の左半身麻痺と言語障害により発症から2時間以内にrt-PA療法を実施し、その後リハビリテーションを行っている右中大脳動脈領域の脳梗塞の事例。介入は入院7日目である。

5.睡眠と休息をとる

A氏の睡眠状況について、入院前は21時から翌朝6時まで良眠できており、日中も盆栽の手入れや散歩、地域活動などの活動を行える程度の休息が確保できていた。しかし、入院後は環境の変化による不眠を訴えることが多く、夜間の不穏も時折見られる状態である。睡眠時間は4-5時間程度で断続的であり、特に夜間のトイレ介助の際に覚醒してしまうことが多い。

睡眠を妨げる要因として、まず環境の変化が考えられる。入院による生活環境の変化に加え、左半身麻痺による体位変換の困難さや、夜間2-3回のポータブルトイレへの移乗介助が必要な状況が、睡眠の質に影響を与えている。また、「こんな状態では家族に迷惑をかけるばかりだ」という発言に表れているように、病状に対する不安や家族への負担感というストレス要因も睡眠を妨げている可能性がある。

日中は1~2回/日の個別リハビリテーションを意欲的に実施しているが、睡眠不足による疲労が蓄積し、リハビリテーションの効果にも影響を与える可能性がある。加えて、高齢による睡眠構造の変化も考慮する必要があり、加齢に伴う深睡眠の減少や中途覚醒の増加が、現在の睡眠障害を助長している可能性がある。

必要な看護介入として、まず療養環境の調整が重要である。適切な室温や照明の調整、不必要な物音の軽減など、睡眠を促進する環境づくりを行う。また、日中の活動時間を確保し、生活リズムを整えることで、夜間の良眠を促す。夜間のトイレ介助については、排尿パターンを把握した上で、可能な限り睡眠の中断を最小限に抑える工夫が必要である。

追加で収集が必要な情報として、睡眠環境における騒音レベルや照明の状況、室温や湿度、寝具の快適さ、疼痛や掻痒感の有無、入院前の就寝前の習慣などが挙げられる。また、不眠時の対処方法や、睡眠に関する本人の希望についても、より詳細な情報収集が必要である。

現在は眠剤を使用していない状況であるが、睡眠障害が継続する場合は、主治医と相談の上で薬物療法の検討も必要かもしれない。また、不安の軽減に向けて、傾聴や共感的な関わりを継続することも重要である。

ニーズの充足状況としては、睡眠時間の減少や睡眠の質の低下が顕著であり、十分な休息が確保できていない状態が続いている。また、これらの睡眠障害が日中の活動性やリハビリテーションの効果にも影響を与える可能性があることから、睡眠と休息に関するニーズは充足されていないと判断される。継続的な観察と環境調整、心理的支援を含めた包括的な介入が必要な状態である。

看護問題の明確化

# 脳梗塞に伴う環境変化・夜間の排尿・疾患への不安に関連した睡眠障害

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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