【ヘンダーソン】心不全 入院3日目(0005)| 7.体温を生理的範囲内に維持する

ヘンダーソン

事例の要約

慢性心不全の急性増悪により緊急入院となった72歳男性の事例である。入院3日目において、薬物療法と水分・塩分制限により症状の改善を認めており、今後は再発予防に向けた生活指導と退院支援を要する事例である。

7.体温を生理的範囲内に維持する

バイタルサインについて、体温は入院時36.7度、現在36.5度と生理的範囲内で安定している。血圧は入院時148/92mmHgから現在130/75mmHgへと改善し、脈拍も92回/分から78回/分と安定傾向にある。呼吸数は24回/分から18回/分へと改善し、体温調節に影響を及ぼすような異常な代謝亢進状態は認められない。

療養環境については、病室の温度や湿度、空調の設定に関する具体的な情報が不足している。高齢者は温度変化への適応能力が低下していることを考慮すると、室温は20-25度、湿度は50-60%程度に保つことが望ましい。特に心不全患者は温度変化によって心負荷が増大する可能性があるため、環境温の調整は重要である。この点については、追加の情報収集と環境調整が必要である。

発熱に関して、入院後現在まで発熱は認められていない。また、感染症の既往もなく、現在の臨床症状や検査所見からも感染症を示唆する所見は認められない。ただし、心不全患者は感染症により容易に状態が悪化する可能性があるため、継続的な体温モニタリングと感染予防策の実施が重要である。

日常生活動作については、病棟内の歩行は見守りで行っており、基本的な動作は自立している。ただし、心不全による活動制限があり、過度な運動による体温上昇に注意が必要である。入浴は現在未実施で清拭で対応しているが、今後の入浴再開時には湯温や入浴時間の調整が必要となる。

血液データについて、白血球数は入院時9.2×10³/μLから7.8×10³/μLへと改善傾向にあり、炎症反応を示すCRPも0.85mg/dLから0.42mg/dLへと低下している。これらの値は軽度上昇しているものの、重篤な感染症を示唆するものではなく、心不全による組織循環障害に伴う炎症反応と考えられる。

加齢による影響として、72歳という年齢では体温調節機能の低下が予測される。高齢者は暑熱環境や寒冷環境への適応が遅くなり、体温変動が生じやすい。また、発汗機能や末梢血管の収縮拡張機能も低下していることが考えられ、環境温の変化に対する脆弱性が増している可能性がある。

看護介入としては、定期的な体温測定に加え、室温と湿度の適切な管理が重要である。活動量の増加に伴う体温変動にも注意を払い、必要に応じて衣類の調整や環境温の微調整を行う。また、清潔ケア時の温度管理や、夜間の寝具調整についても配慮が必要である。

継続的な観察が必要な点として、日々の体温変動パターン、活動による体温変化、環境温の変化に対する反応、感染徴候の有無が挙げられる。また、心不全症状の増悪時には体温調節機能に影響が出る可能性があるため、心不全症状との関連にも注意を払う必要がある。

将来的な入浴再開に向けて、湯温や入浴時間、入浴前後の体温変動などについてのアセスメントと計画立案が必要である。また、季節の変わり目における体温管理についても、前もって対策を検討する必要がある。

ニーズの充足状況については、現時点では体温は生理的範囲内で安定しており、基本的なニーズは充足されていると判断できる。ただし、心不全による活動制限や加齢による体温調節機能の低下を考慮すると、継続的な観察と環境調整が必要な状態である。

看護問題の明確化

なし

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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