【ヘンダーソン】大腸癌 入院3日目(0015)| 7.体温を生理的範囲内に維持する

ヘンダーソン

事例の要約

横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行後、術後補助化学療法としてカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)療法1コース目を実施中の患者。化学療法開始3日目より、悪心・嘔吐、末梢神経障害、倦怠感などの副作用症状が出現し、日常生活動作に支障をきたしている60歳代の事例。介入日は10月15日。

7.体温を生理的範囲内に維持する

A氏のバイタルサインは、入院時(10月12日)には体温36.5℃、血圧132/78mmHg、脈拍78回/分・整、呼吸数16回/分、酸素飽和度98%(室内気)と安定していた。しかし、化学療法開始3日目の現在(10月15日)では体温37.2℃とやや上昇傾向にあり、脈拍も84回/分と軽度上昇している。血圧126/72mmHg、呼吸数18回/分、酸素飽和度97%(室内気)は許容範囲内である。

療養環境の温度、湿度、空調に関する具体的な情報は記載されていないため、評価が必要である。65歳という年齢を考慮すると、加齢による体温調節機能の低下が考えられるため、室温や湿度の適切な管理が重要である。特に化学療法中は体調の変化が生じやすいため、環境調整への配慮が必要である。

発熱に関しては、入院時と比較して0.7℃の上昇がみられる。この体温上昇は化学療法による影響と考えられるが、感染症の可能性も考慮する必要がある。現時点で明らかな感染症の既往や症状は認められていないが、化学療法による免疫力低下のリスクがあるため、感染予防と観察が重要である。特に、XELOX療法では好中球減少が好発する可能性があり、投与開始後8-15日目頃に血球減少することが予測される。現在は投与開始3日目であるが、今後の血球減少に備えた予防的な対応が必要である。また、化学療法による粘膜障害も感染リスクを高める要因となるため、口腔内や消化管粘膜の状態にも注意が必要である。

日常生活動作については、入院前はすべて自立しており活動的な生活を送っていたが、化学療法開始後は悪心・嘔吐と倦怠感により活動に消極的となっている。病室でベッド上で過ごす時間が増加しており、この活動量の低下は体温調節にも影響を与える可能性がある。

血液データについては、白血球数が入院時5.8×10³/µLから現在9.2×10³/µLへと上昇しており、CRPも0.08mg/dLから0.45mg/dLへと上昇傾向にある。これらの変化は軽度の炎症反応の存在を示唆しているが、化学療法による影響も考えられるため、継続的な観察が必要である。

必要な看護介入として、以下の対応が重要である。バイタルサインの定期的な測定と記録、室温・湿度の適切な管理、活動と休息のバランスへの配慮、感染予防策の実施(手指衛生の徹底、環境整備、面会者への指導など)、発熱時の対応(クーリング、水分補給の促進)である。また、化学療法中は免疫力低下のリスクがあるため、感染徴候の早期発見に努める必要がある。特に、今後予測される好中球減少期(投与開始後8-15日目頃)に向けて、体温モニタリングの強化、感染予防策の徹底、および感染徴候(発熱、悪寒、炎症所見、粘膜障害など)の観察が重要となる。また、好中球数が1000/µL未満となった場合は、感染リスクが著しく上昇するため、より厳重な感染予防対策が必要となる

体温に影響を与える要因として、化学療法による副作用、活動量の低下、環境要因、潜在的な感染リスクなどが考えられる。これらの要因を総合的に評価し、適切な介入を行うことが重要である。特に、化学療法中は体調の変化が生じやすいため、きめ細かな観察と迅速な対応が必要である。

体温を生理的範囲内に維持するというニーズについて、現時点では軽度の体温上昇が認められるものの、重篤な発熱には至っていない。しかし、化学療法による免疫力低下のリスクや炎症反応の上昇傾向を考慮すると、体温管理には継続的な注意が必要である。また、活動量の低下や環境要因の影響も考えられるため、このニーズは完全には充足されていない状態であり、予防的な観察と支援が必要である。

看護問題の明確化

#化学療法による骨髄抑制に関連した感染リスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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