【ヘンダーソン】大腸癌 入院3日目(0015)| 8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する

ヘンダーソン

事例の要約

横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行後、術後補助化学療法としてカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)療法1コース目を実施中の患者。化学療法開始3日目より、悪心・嘔吐、末梢神経障害、倦怠感などの副作用症状が出現し、日常生活動作に支障をきたしている60歳代の事例。介入日は10月15日。

8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する

入院前は自立して入浴動作が行えており、清潔保持に支障はなかった。毎日の入浴習慣があり、自身で身だしなみを整えることができていた。術後の回復は良好であり、手術創は治癒しているが、現在は化学療法による副作用として悪心・嘔吐と全身倦怠感が出現しており、清潔保持に影響を及ぼしている。

入院後は化学療法開始前まではシャワー浴を自立して行えていたが、開始3日目の現在は悪心・嘔吐と倦怠感により、シャワー浴を中止し清拭での対応となっている。更衣は基本的に自立しているものの、しゃがんで靴下を履く動作には疲労を伴うため、介助を要することがある。これらの状況から、一時的に清潔セルフケア能力が低下していると判断される。

口腔内の状態については、化学療法による粘膜障害のリスクが高まっているため、詳細な観察と予防的なケアが必要である。悪心・嘔吐が出現していることから、口腔内の不快感や粘膜損傷のリスクが上昇していると考えられる。歯磨きや含嗽の状況について追加の情報収集が必要である。

皮膚の状態については、活動量が低下しベッド上で過ごす時間が増加していることから、褥瘡発生のリスクに注意が必要である。体重は58kgで標準体重より低く、化学療法による食事摂取量の低下も認められることから、皮膚の脆弱化が懸念される。現時点での皮膚トラブルの有無や好発部位の観察状況について、追加の情報収集が必要である。

排泄に関しては、尿失禁や便失禁は認められていない。排尿は日中5-6回、夜間1-2回で自立している。化学療法の影響で最終排便は2日前となっているが、腹部は軟らかく腹痛の訴えはない。排泄の自立度は保たれているが、悪心による体調不良時の転倒リスクを考慮し、トイレ歩行時は看護師に声をかけてもらい必要時見守りを行っている

今後必要な看護介入として、以下の対応が重要である。まず、清潔ケアについては患者の体調に合わせて方法を工夫し、疲労度に応じて介助を行う必要がある。特に化学療法による副作用症状が強い時期は、清拭やケア時間の調整により負担軽減を図る。口腔ケアは化学療法による粘膜障害予防の観点から重要であり、適切な方法と頻度での実施を支援する。また、活動量低下による褥瘡予防のため、体位変換や早期離床の援助を行う。

排泄に関しては自立度を維持しながら、安全面での配慮を継続する。体調不良時の転倒予防のため、ナースコールの使用を促し、必要時の見守りや介助を行う。化学療法による便秘予防にも注意を払い、水分摂取量や活動量の確保に努める。

ニーズの充足状況としては、現在は化学療法による副作用症状により、清潔セルフケアに関するニーズが一時的に充足されていない状態にある。しかし、患者本人の治療への意欲は高く、妻の支援も得られていることから、適切な看護介入により改善が期待できる。今後の化学療法の経過に伴い、セルフケア能力の変化を継続的に観察し、患者の状態に応じた支援を行っていく必要がある。

看護問題の明確化

#化学療法(XELOX療法)に伴う悪心・嘔吐、倦怠感に関連したセルフケア不足

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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