【ヘンダーソン】大腸癌 入院3日目(0015)| 12.達成感をもたらすような仕事をする

ヘンダーソン

事例の要約

横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行後、術後補助化学療法としてカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)療法1コース目を実施中の患者。化学療法開始3日目より、悪心・嘔吐、末梢神経障害、倦怠感などの副作用症状が出現し、日常生活動作に支障をきたしている60歳代の事例。介入日は10月15日。

12.達成感をもたらすような仕事をする

患者は65歳の男性で、定年まで会社員として総務部で勤務していたが、現在は退職している。長年の職業生活を通じて培った几帳面で真面目な性格は、現在の治療への取り組み方にも反映されている。退職後の生活における役割や日課についての詳細な情報収集が必要である。

家庭内では妻と2人暮らしをしており、夫婦間の関係性は良好である。入院前は毎朝30分程度の散歩を日課とし、規則正しい生活を送っていた。このような自主的な健康管理の習慣は、患者の生活における重要な役割の一つとして認識できる。

現在は横行結腸癌Stage IIIAに対する術後補助化学療法のため入院中である。手術後の経過は良好であったが、化学療法による副作用症状として悪心・嘔吐と全身倦怠感が出現しており、これまでの日常生活リズムや役割の遂行に影響を及ぼしている。特に活動量が低下し、病室でベッド上で過ごす時間が増加している状況は、患者の自己効力感や達成感に影響を与える可能性がある。

治療に対する姿勢は積極的で、病状について詳しく理解したいという意欲がある。医療者の説明をメモに取る習慣があり、治療への主体的な参加意識が見られる。一方で、「こんなに具合が悪いと家に帰っても妻に迷惑をかけそう」という発言からは、家庭内での役割遂行への不安が窺える。

必要な看護介入として、以下の対応が重要である。まず、化学療法中の副作用症状に対する適切な支援を行い、患者の体調管理を支援する。特に悪心・嘔吐のコントロールを図り、可能な範囲で活動性を維持できるよう援助する。

また、治療に対する患者の積極的な姿勢を支持し、理解度に応じた情報提供を継続する。治療経過の記録や自己管理への取り組みを評価し、達成感が得られるよう支援する。

退院後の生活を見据え、患者の体調に応じた役割の調整について、妻を含めた話し合いの機会を設ける。化学療法は今後6ヶ月間(8コース)継続される予定であり、長期的な治療経過の中で患者が新たな役割や生活リズムを確立できるよう支援していく必要がある

活動と休息のバランスを考慮し、患者の体調に応じた運動や活動の提案を行う。病棟内での活動範囲を徐々に拡大し、適度な運動による達成感が得られるよう工夫する。また、趣味や興味のある活動について情報収集し、治療中でも取り組める活動を共に検討する。

ニーズの充足状況としては、治療に対する積極的な姿勢や自己管理への意欲は保たれているものの、化学療法による副作用症状により、これまでの生活リズムや役割遂行が制限されており、達成感に関するニーズは十分には充足されていない状態である。今後の治療経過に応じて、患者の体調と役割遂行のバランスを見極めながら、段階的な支援を行っていく必要がある。

看護問題の明確化

#化学療法による副作用症状に関連した役割遂行障害

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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