【ヘンダーソン】大腸癌 入院3日目(0015)| 14.”正常”な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる

ヘンダーソン

事例の要約

横行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸切除術を施行後、術後補助化学療法としてカペシタビン+オキサリプラチン(XELOX)療法1コース目を実施中の患者。化学療法開始3日目より、悪心・嘔吐、末梢神経障害、倦怠感などの副作用症状が出現し、日常生活動作に支障をきたしている60歳代の事例。介入日は10月15日。

14.”正常”な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる

発達段階として、65歳のA氏はエリクソンの発達段階における統合対絶望の時期にあたる。定年退職後の生活を妻と共に営んでおり、これまでの人生における達成感と新たな課題への直面という段階にある。がんという重大な健康課題に直面しながらも、治療に対して前向きな姿勢を示していることは、この発達段階における課題に適応的に取り組んでいることを示唆している。

疾患と治療方法の理解については、A氏は几帳面で真面目な性格特性を持ち、医療者の説明を熱心にメモに取る習慣があることから、積極的な理解への姿勢が確認できる。横行結腸癌Stage IIIAに対する治療として、手術療法を終え、現在はXELOX療法による補助化学療法を実施中である。治療内容や副作用について詳細な理解を示しており、特に副作用症状との関連で服薬管理の重要性を認識している。しかし、実際に経験している悪心・嘔吐の程度が予想以上であったことから、治療継続への不安も生じている。

学習意欲と認知機能については、認知機能は正常に保たれており、見当識障害や記憶障害は認められていない。コミュニケーションは論理的で、治療に関する意思決定も適切に行える状態である。自身の病状について詳しく理解したいという意欲が高く、医療者の説明に対して積極的に質問をする姿勢がみられる。また、妻も毎日面会に訪れ、食事の工夫や生活上の注意点について熱心に確認しており、家族の学習への参加度合いは非常に高い。

加齢による変化として、近方視力の低下があり老眼鏡を使用しているが、眼鏡使用により文字の読み取りに支障はない。聴力は正常で、通常の会話に問題はないため、口頭での説明や書面での情報提供において特別な配慮は必要としない。

現在の学習ニーズとしては、以下の点が重要である。化学療法の副作用、特に悪心・嘔吐への対処方法について、より具体的な理解を深める必要がある。また、倦怠感による活動量低下が見られることから、適切な活動と休息のバランスについての理解を促進する必要がある。退院後の生活管理についても、妻と共に具体的な対処方法を学習する機会を設ける必要がある。

必要な看護介入として、化学療法の副作用対策について、具体的な対処方法を視覚的な資料を用いて説明することが有効である。また、患者の体調に合わせて、短時間での説明を複数回に分けて行うことで、効果的な学習を支援できる。妻も含めた指導を行い、退院後の生活における注意点や対処方法について、実践的な知識を提供する必要がある。

継続的な観察が必要な点として、悪心・嘔吐の程度や対処方法の効果、活動量の変化、及び学習内容の理解度と実践状況がある。特に、化学療法の副作用に対する対処能力の向上と、それに伴う自己効力感の変化を注意深く観察する必要がある。

ニーズの充足状況についてまとめると、疾患や治療に対する基本的な理解は充足されているものの、実際の副作用への対処方法や退院後の生活管理については、さらなる学習支援が必要な状態である。特に、悪心・嘔吐への対処や活動量の調整について、具体的な方策を身につけることが求められる。家族の支援体制は良好であり、妻との協力関係を活かした学習支援を継続することで、ニーズの充足が期待できる。

看護問題の明確化

#化学療法による消化器症状に関連した知識不足

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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