本事例の要約
自宅玄関での転倒により右大腿骨頸部骨折を受傷し、人工骨頭置換術を施行した78歳女性の介入14日目の事例である。
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
A氏は入院前、地域の高齢者サークルの世話役として積極的に活動しており、社交的な性格を活かした社会活動を趣味や余暇活動の一つとしていた。しかし、具体的な趣味や休日の過ごし方についての詳細な情報は不足している。キリスト教信仰があることから、教会活動への参加など、宗教に関連した余暇活動の可能性についても確認が必要である。
運動機能について、入院前は全ての日常生活動作が自立しており、杖なしでの独歩が可能で自由に外出できていた。しかし、現在は右大腿骨頸部骨折術後の疼痛と活動制限により、歩行器使用下で5m程度の歩行が可能な状態にとどまっている。日常生活での移動は車椅子を使用し、全介助を要する状況であり、これは余暇活動やレクリエーションの実施に大きな制限を与えている。
認知機能については、入院前のMMSE 29/30点から現在27/30点と軽度低下が認められる。この変化は一時的なものである可能性があるが、活動制限による刺激の減少が認知機能に影響を与えるリスクがある。また、疼痛による睡眠障害も報告されており、これは日中の活動性や気分に影響を与える可能性がある。
入院中の気分転換方法について具体的な情報は不足しているが、夫の毎日の面会と長女の週2-3回の面会が重要な精神的支援となっている。しかし、「痛くて眠れない」「早く家に帰りたい」「夫に迷惑をかけて申し訳ない」という発言からは、現在の入院生活における心理的ストレスが伺える。
必要な看護介入として、以下の対応が求められる: 入院中の活動制限がある状況でも実施可能なレクリエーション活動を提案し、導入する必要がある。例えば、ベッドサイドで行える読書や手工芸、テレビ視聴などの余暇活動を本人の興味に合わせて検討する。また、病棟内で実施される集団レクリエーションへの参加を促し、他患者との交流機会を提供することも重要である。
疼痛管理を適切に行いながら、段階的な活動範囲の拡大を図ることで、より多様なレクリエーション活動への参加可能性を広げていく。特に、リハビリテーションの進行に合わせて、できる活動を増やしていくことが重要である。面会時間を活用した家族との交流も、重要な気分転換の機会として支援する。
退院後の生活を見据えて、これまで参加していた高齢者サークルへの復帰を目標とした活動計画の立案が必要である。また、家族と協力しながら、自宅での余暇活動の再開に向けた環境調整も検討する。
観察を継続すべき点として、疼痛による活動制限の程度、気分や意欲の変化、レクリエーション活動への参加状況と反応、認知機能の推移について、定期的な評価が必要である。また、家族との交流が気分転換としてどの程度効果的であるかについても観察を継続する。
現時点でのニーズの充足状況について、レクリエーションに関するニーズは充足されていない状態である。これは、身体機能の制限による活動範囲の狭小化と、入院による環境の変化が主な要因となっている。特に、これまで積極的に行っていた社会活動や地域活動への参加が制限されている状況は、生活の質に大きな影響を与えている。
看護問題の明確化
#右大腿骨頸部骨折後の疼痛・活動制限に関連したレクリエーション活動不足
#活動制限・環境変化に関連した感覚刺激低下のリスク状態
#長期臥床に関連した認知機能低下のリスク状態
事例の目次
【ヘンダーソン】大腿骨頸部骨折 骨粗鬆症(0011)| 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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