【ヘンダーソン】大腿骨頸部骨折 骨粗鬆症(0011)| 14.”正常”な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる

ヘンダーソン

事例の要約

自宅玄関での転倒により右大腿骨頸部骨折を受傷し、人工骨頭置換術を施行した78歳女性の介入14日目の事例である。

14.”正常”な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる

A氏は78歳の後期高齢者であり、エリクソンの発達段階における統合対絶望の段階にある。入院前は地域の高齢者サークルの世話役を務め、社会的役割を積極的に果たしており、自己実現と社会貢献を通じた人生の統合に向かっていた状態であった。しかし、今回の骨折により、これまでの活動的な生活に制限が生じている。

疾患理解について、右大腿骨頸部骨折(Garden分類 type III)に対する人工骨頭置換術を施行し、また骨密度測定でT-score: -3.2の重度骨粗鬆症が判明している。治療に関して、アレンドロン酸35mg週1回とエルデカルシトール0.75μg連日投与が開始されているが、これらの治療内容や服薬の必要性についての理解度は不明確である。特に、骨粗鬆症の重症度と今後の転倒予防の重要性について、どの程度認識しているか確認が必要である。

認知機能については、入院前のMMSE 29/30点から現在27/30点と軽度低下が認められる。この変化は環境変化や手術後のストレス、睡眠障害などが影響している可能性があるが、学習能力に影響を与える可能性がある。几帳面な性格から、これまでは規則正しい生活を心がけており、新しい情報や指導を受け入れる基本的な素地はあると考えられる。

家族の学習参加について、80歳の夫は毎日面会に来ており、「できる限り支えていきたい」という意欲を示している。また、キーパーソンである長女(54歳)も週2-3回の頻度で支援しており、「できるだけ手伝いに来るようにします」と協力的である。しかし、高齢の夫婦二人暮らしという状況から、退院後の生活における学習内容の実践や継続に課題がある可能性がある。

必要な看護介入として、以下の対応が求められる: 骨折の予防と治療に関する教育では、患者の認知機能と理解力に合わせた段階的な説明が必要である。特に、骨粗鬆症の重症度と転倒予防の重要性について、具体的な生活場面に即した指導を行う。服薬管理については、入院中は看護師管理となっているが、退院後の自己管理に向けて、薬剤の種類や用法の理解を深める支援が必要である。

リハビリテーションに関する学習では、疼痛管理の方法や安全な移動方法について、実践を通じた理解を促進する。特に、歩行器の使用方法や転倒予防策について、繰り返しの指導と確認が重要である。また、家族を含めた指導の機会を設け、退院後の生活を見据えた知識と技術の習得を支援する。

栄養管理に関する学習も重要である。術後の体重減少(3kg)やアルブミン値の低下(3.0g/dL)が見られることから、適切な栄養摂取の重要性について理解を促す必要がある。特に、骨粗鬆症の治療に関連して、カルシウム摂取の重要性や具体的な食品選択について指導を行う。

観察を継続すべき点として、認知機能の推移、学習内容の理解度と実践状況、家族の理解度と支援能力について、定期的な評価が必要である。また、不安や疑問点が表出された際には、適切なタイミングで追加の説明や指導を行う。

現時点でのニーズの充足状況について、学習に関するニーズは部分的にしか充足されていない状態である。これは、疾患や治療に関する理解度の確認が不十分であることと、認知機能の軽度低下による学習効果への影響が懸念されることが主な要因となっている。また、退院後の生活における学習内容の実践と継続に向けた具体的な支援体制の確立が必要な状況である。

看護問題の明確化

#右大腿骨頸部骨折・重度骨粗鬆症に関連した疾病管理能力低下のリスク状態
#認知機能低下・高齢に関連した学習効果低下のリスク状態
#高齢夫婦世帯における介護力不足に関連した退院後の治療継続困難のリスク状態

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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