【ヘンダーソン】関節リウマチ 入院4日目(0017)| 5.睡眠と休息をとる

ヘンダーソン

事例の要約

これは関節リウマチと診断され、疼痛コントロール目的で入院となった60代女性の入院4日目の事例です。入院後、疼痛管理と関節機能の評価が行われている段階であり、今後の治療方針の確立と退院に向けた準備が進められている状況である。11月15日介入。

5.睡眠と休息をとる

A氏は65歳の女性で、入院前は22時就寝、6時起床の規則正しい睡眠パターンを確立していた。しかし、関節リウマチによる関節痛が強くなってからは、夜間痛による中途覚醒が増加していた。現在は入院環境への適応過程にあり、夜間の関節痛と環境変化による入眠困難を訴えている。そのため、眠前にゾルピデム5mgを頓用で服用している状況である。服用後は比較的良眠できているが、早朝4時頃に関節痛で目覚めることがあり、完全な睡眠サイクルが確保できていない。日中の傾眠は観察されておらず、睡眠の質よりも量が不足している状態と考えられる。

疼痛に関しては、朝の手指関節の疼痛が強く、関節のこわばりも認められる。入院時は安静時NRS 5/10、動作時NRS 7/10であったが、薬物療法により現在は安静時NRS 2/10、動作時NRS 5/10と軽減傾向にある。特に朝のこわばりは30分程度で改善するようになってきているが、早朝覚醒の原因となっている疼痛は十分にコントロールされていないと考えられる。関節リウマチの特徴である朝のこわばりと疼痛が睡眠の質と量に直接影響を与えていると評価できる。安静度に制限はなく、自力での体位変換も可能であるが、関節痛により頻繁な体位変換を行うことで睡眠が分断されている可能性がある。

現在使用している入眠剤はゾルピデム5mgであり、頓用での使用となっている。入眠効果は認められるものの、持続効果が早朝までは十分に維持されていない状況である。また、ゾルピデムは依存性の観点から長期連用は避けるべきであり、根本的な睡眠障害の原因である疼痛コントロールを強化することが望ましい。

疲労の状態については、入院前から関節痛による日常生活動作の制限があり、特に朝方は関節のこわばりがあるため起き上がりや立ち上がりに時間を要している。睡眠の質低下による回復感の乏しさが日中の疲労感を増強させている可能性がある。また、疼痛による睡眠障害が継続することで慢性的な疲労状態に陥るリスクがある。現在のリハビリテーションプログラムと日常生活動作における負担のバランスを評価し、過度な疲労を防止する必要がある。

療養環境への適応状況について、A氏は「初めての入院で不安」と話しており、環境変化によるストレスが睡眠に影響していると考えられる。几帳面で丁寧な性格であり、自立心の強い方であることから、入院による生活パターンの変化や自己管理の制限に対するストレスを感じている可能性がある。また、「このまま悪化して家事や趣味の編み物ができなくなるのではないか」という将来への不安も睡眠を妨げる要因となっていると推察される。

A氏の睡眠・休息に関するニーズは十分に充足されていないと判断される。看護介入としては、まず疼痛コントロールの強化が必要である。睡眠前と早朝の疼痛に対して、現在処方されているロキソプロフェン60mgの適切な使用タイミングを検討し、夜間の疼痛緩和に努める。また、入眠前のリラクゼーション方法として、温罨法や入浴、軽いストレッチなどを取り入れることで、入眠を促進する介入が有効である。さらに、睡眠環境の調整として、適切な室温・湿度の維持、騒音の軽減、照明の調整などを行い、快適な睡眠環境を整える必要がある。

加えて、A氏の不安や心配事を傾聴し、関節リウマチに関する正確な情報提供を行うことで、疾患に対する理解を深め不安を軽減させることも重要である。夫との面会時間を活用し、退院後の生活についての具体的な準備を進めることで、将来への不安を軽減させる支援も必要である。

今後も睡眠パターンの変化や疼痛の程度、疲労状態の観察を継続し、必要に応じて主治医と相談しながら睡眠薬の種類や用量の調整を検討する。また、入院生活の長期化による睡眠障害の悪化を防ぐために、できるだけ日中の活動を促し、夜間の良質な睡眠につながるよう生活リズムを整える支援が必要である。

以上のことから、A氏の睡眠と休息に関するニーズは、疼痛コントロールの不十分さ、入院環境への適応過程、疾患に対する不安により十分に充足されていないと判断される。

看護問題の明確化

#疾患に伴う関節痛と環境変化に関連した睡眠障害

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この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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