本事例の要約
これは関節リウマチと診断され、疼痛コントロール目的で入院となった60代女性の入院4日目の事例です。入院後、疼痛管理と関節機能の評価が行われている段階であり、今後の治療方針の確立と退院に向けた準備が進められている状況である。11月15日介入。
11.自分の信仰に従って礼拝する
A氏は65歳の女性で、関節リウマチによる治療のために入院中である。A氏の信仰に関する情報として、特定の宗教的信仰はないが、「人として正しく生きる」ことを大切にしているという情報がある。この価値観は、A氏の人生観や生き方の指針となっており、日常生活における決断や行動に影響を与えていると考えられる。しかし、具体的にどのように「人として正しく生きる」ことを実践しているか、また日々の生活の中でどのような形で表現しているかについての詳細な情報は得られていない。
A氏の価値観や信念については、几帳面で丁寧な性格であり、自立心の強さと自己管理への意欲が特徴的である。これは「人として正しく生きる」という価値観と結びついている可能性があり、自分の責任を果たし、他者に迷惑をかけないように生きるという信念の表れかもしれない。また、退職前は小学校教師として勤務していたことから、教育や人材育成に価値を見出していた可能性も考えられる。これらの職業経験や人生経験が、A氏の現在の価値観や信念の形成に影響していると推測される。
信仰による食事の制限については、特別な情報は得られていない。A氏は自宅で夫と共に和食中心の食事を摂取しており、現在は病院食で常食を摂取している。食事に関連する宗教的な制限や禁忌食品についての情報がないため、この点については更なる情報収集が必要である。しかし、現時点では特定の宗教的信仰がないとの情報から、食事に関する宗教的制限はない可能性が高い。
治療法の制限については、A氏がペニシリン系抗生物質でじんましんの既往があるという薬剤アレルギーの情報があるが、これは医学的な理由による制限であり、信仰や価値観に基づく治療法の制限に関する情報は得られていない。現在の治療に対する受け入れ状況や、特定の治療法に対する拒否感などの情報も不足しているため、この点についても詳細な情報収集が必要である。
A氏は「病気と上手く付き合っていきたい」「自分のことは自分でできるようになりたい」と述べており、これらの発言から疾患に対する前向きな姿勢と自律性の重視という価値観が窺える。このような価値観は、治療への積極的な参加意欲につながる可能性がある一方で、自分でできないことへの葛藤や焦りを生じさせる可能性もある。特に関節リウマチという進行性の疾患によって、今後さまざまな制限が生じる可能性があることを考慮すると、A氏の価値観と現実の間でどのような折り合いをつけていくかが重要な課題となる。
加齢による影響としては、高齢期に入るとともに人生の意味や目的、spirituality(霊性)への関心が高まることがあるとされている。A氏は65歳であり、退職後の生活を送っている中で、自身の人生を振り返り、価値観や信念を再確認する時期にあると考えられる。また、慢性疾患の発症や身体機能の変化によって、従来の価値観や信念に揺らぎが生じる可能性もある。特に「人として正しく生きる」という価値観が、疾患による制限の中でどのように維持・変容していくかについては、今後の観察が必要である。
看護介入としては、まずA氏の価値観や信念についてより詳細に理解するための情報収集が必要である。特に「人として正しく生きる」ということの具体的な意味や、それが日常生活や療養行動にどのように影響しているかについて把握することが重要である。また、疾患や治療に対する考え方、生きがいや人生の意味についての思いなども含めて幅広く情報を得ることで、A氏のスピリチュアルな側面を総合的に理解することができる。
情報収集の際には、A氏が自分の価値観や信念について話しやすい環境を整えることが大切である。プライバシーの確保された場所で、十分な時間をかけて傾聴する姿勢を示すことが重要である。また、宗教的な話題は個人的で繊細な内容を含むこともあるため、押し付けがましくならないよう配慮しながら、A氏が自発的に話せるような雰囲気づくりを心がける必要がある。
A氏の価値観や信念を尊重した看護ケアを提供することも重要である。特に自立心の強いA氏にとっては、できるだけ自分でケアを行えるよう支援することが、その価値観を尊重することにつながる。一方で、関節痛などによりセルフケアが困難な場合には、A氏の自尊心を傷つけないよう配慮しながら必要な援助を提供することが求められる。
また、A氏が疾患との共存や将来に対する不安を感じている場合には、そのような思いを表出できる機会を設けることも重要である。人生の意味や目的に関わる深い問いかけに対しては、答えを提供するのではなく、A氏自身が考えを整理し、自分なりの答えを見つけられるよう支援する姿勢が大切である。
夫との関係性については、互いを思いやる良好な関係が築かれているとの情報があるため、夫の存在がA氏にとって精神的な支えとなっていることが推測される。夫との関係性や交流が、A氏のスピリチュアルな側面にどのような影響を与えているかについても理解を深めることが望ましい。
総合的に判断すると、A氏の「自分の信仰に従って礼拝する」というニーズについては、特定の宗教的信仰はないとの情報から、形式的な礼拝行為へのニーズは低い可能性がある。しかし、「人として正しく生きる」という価値観や信念に基づいた生き方を実践することへのニーズはあると考えられる。現時点では情報が限られているため、このニーズが充足されているかどうかの判断は難しいが、今後の治療経過の中で、A氏の価値観や信念が尊重され、それに沿った生き方ができているかを継続的に評価していく必要がある。特に関節リウマチという進行性疾患との共存において、A氏の価値観や信念がどのように影響し、また変化していくかについて注意深く観察していくことが重要である。
現時点での情報から判断すると、A氏の「自分の信仰に従って礼拝する」というニーズについては、形式的な宗教的礼拝へのニーズは存在しないが、「人として正しく生きる」という価値観に基づいた生き方を実践することへのニーズは存在していると考えられる。このニーズの充足状況については情報が不足しているため、継続的な情報収集と観察が必要である。
看護問題の明確化
なし
事例の目次
【ヘンダーソン】関節リウマチ 入院4日目(0017)| 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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