本事例の要約
これは関節リウマチと診断され、疼痛コントロール目的で入院となった60代女性の入院4日目の事例です。入院後、疼痛管理と関節機能の評価が行われている段階であり、今後の治療方針の確立と退院に向けた準備が進められている状況である。11月15日介入。
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
A氏は65歳の女性で、関節リウマチの治療のため入院中である。趣味や余暇活動に関する情報としては、編み物を趣味としていることが把握されている。「このまま悪化して家事や趣味の編み物ができなくなるのではないか」という不安を表出していることからも、編み物がA氏にとって重要な趣味活動であることが理解できる。しかし、その他の趣味や休日の過ごし方、余暇活動に関する詳細な情報は得られていないため、さらなる情報収集が必要である。特に趣味の種類や頻度、それらの活動に対する思いや意味づけ、他者との交流を伴う活動の有無などについて把握することが重要である。
入院中または療養中の気分転換方法についても具体的な情報がないため、A氏がどのように時間を過ごし、どのような活動に取り組んでいるかを確認する必要がある。現在の入院環境における余暇活動の可能性や制限、A氏の希望や関心について情報を得ることが、適切な支援につながる。
運動機能障害については、関節リウマチによる関節痛と朝のこわばりがあり、特に手指関節に症状が強い。朝の手指関節の疼痛が強く、疼痛スケールでは安静時NRS 5/10、動作時NRS 7/10であったが、現在は薬物療法により軽減傾向にあり、安静時NRS 2/10、動作時NRS 5/10となっている。朝のこわばりについては時間が短縮しており、30分程度で改善するようになってきている。この症状は手指を使用する編み物などの趣味活動に直接的な影響を与える可能性が高い。また、歩行は関節痛のため緩慢であるが、病棟内は独歩で移動可能である。手すりがあれば階段の昇降も可能であるが、膝関節痛のため降りる際に特に痛みを訴える。これらの症状は、活動範囲や活動内容に一定の制限をもたらすと考えられる。
認知機能については、認知機能は正常で、日常会話や指示理解に問題はなく、見当識障害も認めていない。このことから、認知的な側面からレクリエーション活動への参加に制限はないと判断できる。コミュニケーションも良好で、質問に対して適切に応答できており、自分の症状や不安についても明確に表現することができる。穏やかな口調で話し、医療者との関係も良好に保たれていることから、他者との交流を伴うレクリエーション活動への参加も可能であると考えられる。
日常生活動作(ADL)については、入院前は自宅内での動作は自立していたが、関節痛により動作時間がやや延長していた。現在の移動能力は前述のとおりであり、排泄や食事も基本的には自立している。ただし、朝食時は手指の朝のこわばりにより箸の使用が困難な場合があり、スプーンを使用して自力摂取できている。衣類の着脱は特に上着のボタンやファスナーの操作、靴下の着脱に時間がかかるが自力で行っている。これらの情報から、基本的なADLは自立しているものの、細かい手指の動作を必要とする活動には制限があることが分かる。このような制限は、編み物などの細かい手作業を必要とする趣味活動に影響を与える可能性が高い。
加齢による影響としては、65歳という年齢は一般的に老年期に入る時期であり、身体機能の変化や役割の変化が生じる時期でもある。老年期には、余暇活動や趣味などの生産的でない活動に時間を費やす機会が増える一方で、加齢に伴う身体機能の低下によって活動の範囲や種類が制限される可能性もある。特に関節リウマチという疾患と加齢による変化が重なることで、趣味やレクリエーション活動への影響がより大きくなる可能性があることを考慮する必要がある。
睡眠に関する情報としては、入院環境への適応と夜間の関節痛により入眠困難を訴えており、眠前に頓用でゾルピデム5mgを服用している。服用後は比較的良眠できているが、早朝4時頃に関節痛で目覚めることがある。日中の傾眠はみられない。睡眠の質や量が活動性に影響を与える可能性があるため、この点にも注意を払う必要がある。
看護介入としては、まずA氏の趣味や休日の過ごし方、余暇活動に関するより詳細な情報収集を行うことが重要である。特に編み物以外の趣味や関心事、過去に楽しんでいた活動、現在の状況でも継続可能または代替可能な活動などについて把握することが、適切な支援の基盤となる。
また、関節リウマチの症状、特に手指の関節痛やこわばりがA氏の趣味活動に与える影響を最小限にするための支援も重要である。理学療法士や作業療法士と連携し、関節可動域の維持・改善や疼痛コントロールを図るとともに、編み物などの趣味を継続するための道具の工夫や代替的な方法についても検討する。例えば、編み針の持ち手を太くする、サポーターやスプリントを使用するなどの工夫が考えられる。
入院中の療養環境においても、A氏が楽しめる活動や気分転換の方法を提供することが重要である。病棟内で可能なレクリエーション活動の紹介や、A氏の関心や希望に沿った活動の提案を行う。また、家族(特に夫)の面会時には、A氏が楽しめる共同活動や話題の提供についても助言することが有効である。
退院後の生活を視野に入れ、関節リウマチの症状があっても楽しめる新たな趣味や活動についての情報提供や、地域の社会資源(リウマチ患者の会や高齢者向けの活動プログラムなど)についての情報提供も検討する。
また、A氏の自立心を尊重しつつも、必要な支援を適切に受け入れることの重要性についても話し合い、無理なく趣味や余暇活動を続けられるような環境調整や支援体制の構築を目指す。
総合的に判断すると、A氏の「遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する」というニーズについては、現時点での情報は限られているものの、関節リウマチの症状、特に手指の関節痛やこわばりが趣味の編み物に影響を与えていることが推測される。また、入院という環境も日常的な趣味や余暇活動の継続に制限をもたらしている可能性がある。したがって、現在このニーズは十分に充足されていない状態にあると考えられる。今後は、A氏の趣味や関心事に関するより詳細な情報収集を行いながら、現在の状況でも楽しめる活動の提案や支援、そして退院後の生活を見据えた準備を進めていくことが重要である。
看護問題の明確化
#疾患に伴う関節痛と手指の機能制限に関連したレクリエーション活動の制限
事例の目次
【ヘンダーソン】関節リウマチ 入院4日目(0017)| 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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