本事例の要約
55歳女性の胃癌(stageⅡA)症例。
職場健診を契機に発見され、7月8日に胃全摘術およびルーY法を施行。
既往に高血圧、脂質異常症あり。
術後経過は良好で、術後5日目より氷片摂取開始、7日目から流動食を開始している。点滴は減量中で、疼痛コントロール良好、ADLも病棟内歩行が自立している。
退院は術後14日目を予定。早期の職場復帰を希望する患者に対し、食事への不安があり、夫は協力的で食事管理に関心が高い。今後は合併症予防に努めながら、段階的な食事進行と活動範囲の拡大を図り、補助化学療法の必要性を検討する方針である。
7.体温を生理的範囲内に維持する
A氏のバイタルサインは、体温36.5℃、脈拍82回/分(整)、血圧126/78mmHg、呼吸数18回/分、経皮的動脈血酸素飽和度97%と安定している。血液データでは、白血球数8,200/μL(基準値:3,300-8,600/μL)、CRP2.1mg/dL(手術後1週間程度であれば、合併症がない場合4-5mg/dL以下が目安)と、術後の炎症反応として妥当な範囲内である。また、創部の感染徴候に関する情報はなく、現在のところ問題は少ないと思われるが、創部の発赤・腫脹・熱感・疼痛などがある場合、感染による炎症を起こしている可能性があるため、注意して観察が必要である。
療養環境の温度や湿度に関する情報は得られていないが、快適な療養環境を維持するために適切な室温(25-28℃)、湿度(50-60%)の管理が必要であるため、確認が必要である。
現在は術後7日目であり、創傷治癒の過程にある。手術侵襲による炎症反応は経過とともに改善傾向にあるが、創部感染のリスクが残存するため、医師の指示にもあるように1日3回のバイタルサイン測定を継続する必要がある。特に活動前後や食事開始に伴う体温変化に注意する。また、創部の発赤、熱感、腫脹、疼痛の有無、悪寒や戦慄などの感染徴候の観察、白血球数やCRPの推移の確認が重要である。
感染予防として、手洗いや手指消毒の励行、創部の清潔保持、適切な創部処置の実施が重要である。また、面会者に対しても感染予防の説明を行う必要がある。
以上のことから、体温を生理的範囲内に維持するというニーズは、現時点では充足されている状態である。しかし、術後の感染リスクは継続しているため、定期的な観察と予防的介入を継続する必要がある。
看護問題の明確化
# 術後に関連した創部感染のリスク状態
事例の目次
【ヘンダーソン】胃癌 術後7日目(0001) | 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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