本事例の要約
55歳女性の胃癌(stageⅡA)症例。
職場健診を契機に発見され、7月8日に胃全摘術およびルーY法を施行。
既往に高血圧、脂質異常症あり。
術後経過は良好で、術後5日目より氷片摂取開始、7日目から流動食を開始している。点滴は減量中で、疼痛コントロール良好、ADLも病棟内歩行が自立している。
退院は術後14日目を予定。早期の職場復帰を希望する患者に対し、食事への不安があり、夫は協力的で食事管理に関心が高い。今後は合併症予防に努めながら、段階的な食事進行と活動範囲の拡大を図り、補助化学療法の必要性を検討する方針である。
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
A氏の趣味や余暇活動に関する具体的な情報は現時点では不足しているが、几帳面な性格で協調的であることから、規則正しい生活の中で何らかの余暇活動を行っていた可能性が高い。また、入院前は喫煙(20本/日×45年)とビール(350ml/日)の習慣があったことから、これらが気分転換やストレス解消の手段となっていた可能性がある。ただし、入院を機に禁煙と禁酒を開始しており、これまでの気分転換手段の喪失という新たな課題が生じている。
運動機能面では、術後7日目の現在、病棟内歩行が自立しており、ふらつきも認められない。移乗や排泄、衣類の着脱なども自立しており、基本的な身体機能は保たれている。視力は矯正視力で両眼1.0、聴力も正常で、知覚にも異常は認められないことから、読書やテレビ視聴などの静的な余暇活動は可能な状態と考える。
認知機能は良好で、医療者の説明を適切に理解し、質問も的確に行えている。コミュニケーション能力も問題なく、夫との面会時には良好な交流が図れている。しかし、「どのくらい食べられるようになるのか」「体重は戻るのか」という不安の表出や、術後の睡眠状態が創部痛により中途覚醒があるなど、心身の不調により十分な休息が得られていない可能性がある。
入院中の気分転換方法に関する具体的な情報は不足しているため、早急な情報収集が必要である。特に、毎日面会に来ている夫との時間の過ごし方や、病室でのテレビ視聴や読書などの有無について確認する必要がある。また、禁煙・禁酒に伴うストレスの有無や、代替となる気分転換方法の希望についても把握する必要がある。
必要な看護介入として、まず入院前の趣味や余暇活動について詳しく聞き取りを行い、入院中に継続可能な活動を一緒に検討することが重要である。また、病棟内で実施可能なレクリエーションの提案や、他患者との交流機会についても検討する必要がある。夫の面会時間を活用した気分転換の方法についても、夫を含めて検討することが有用であると考える。
継続的な観察が必要な点として、睡眠状態の改善状況、疼痛による活動制限の有無、気分の変化、そして禁煙・禁酒に伴う離脱症状の有無がある。また、術後の回復に伴い可能となる活動範囲の拡大に合わせて、新たな気分転換方法を一緒に考えていく必要がある。
以上の状況から、遊びやレクリエーションに参加するというニーズは現時点では未充足であると考えられる。これは、手術後の回復過程にあることに加え、従来の気分転換方法が制限されていること、また入院環境での新たな気分転換方法が確立されていないことが要因として考えられる。今後は、A氏の興味や希望を丁寧に確認しながら、入院中から退院後を見据えた新たな余暇活動の確立を支援していく必要がある。
看護問題の明確化
# 胃全摘術後の治療過程に関連したレクリエーション活動の制限がある
事例の目次
【ヘンダーソン】胃癌 術後7日目(0001) | 今回の情報
1.正常に呼吸する
2.適切に飲食する
3.あらゆる排泄経路から排泄する
4.身体の位置を動かし、また良い姿勢を保持する
5.睡眠と休息をとる
6.適切な衣類を選び、着脱する
7.体温を生理的範囲内に維持する
8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは気分を表現して他者とコミュニケーションを持つ
11.自分の信仰に従って礼拝する
12.達成感をもたらすような仕事をする
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14.正常な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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