本事例の要約
大手IT企業に勤務するシステムエンジニアが、重要なプロジェクトをきっかけに不眠と被害妄想が出現し、その後幻聴も伴うようになった。自宅での興奮行動がみられたため医療保護入院となり、薬物療法により徐々に症状が改善している統合失調症の事例。介入日は2月3日。
看護計画 #1
看護問題
#精神症状(幻聴・妄想)に関連した自己管理能力の低下
長期目標
退院時までに、疾患と症状の自己管理ができ、適切な生活リズムを維持しながら日常生活を送ることができる
短期目標
1週間以内に、服薬の必要性を理解し、確実に内服できる
2週間以内に、適切な食事摂取量を確保し、体重減少が止まる
2週間以内に、7-8時間の夜間睡眠が確保できる
≪O-P≫観察計画
・幻聴の頻度、内容、それに対する反応を観察する
・被害妄想による食事や服薬への影響を確認する
・体重の推移と食事摂取量を毎日確認する
・水分摂取量を1日3回確認する
・睡眠時間と質を毎日確認する
・日中の活動量と疲労度を観察する
・デイルームでの他患者との交流状況を観察する
・ストレス症状の出現や対処行動を観察する
・服薬後の症状変化と副作用の有無を確認する
・疾患や治療に対する理解度を確認する
・現実的な発言内容と頻度を観察する
・家族との面会時の様子と支援状況を確認する
≪T-P≫援助計画
・毎食時、食事の安全性を説明し、摂取を促す
・食事は患者と同じ場所で見守りながら摂取を支援する
・水分摂取を促し、1日1.5L以上を目標に支援する
・就寝前の環境調整を行い、良質な睡眠を確保する
・日中の活動プログラムを提供し、生活リズムを整える
・作業療法への参加を段階的に促進する
・服薬時は確実な内服を確認し、効果を共に評価する
・幻聴や妄想の訴え時は否定せず傾聴する
・ストレスサインの出現時は休息を促す
・疲労感に応じて活動と休息のバランスを調整する
・家族との面会時間を調整し、支援体制を強化する
・退院後の生活リズム確立に向けた具体的な計画立案を支援する
≪E-P≫教育・指導計画
・統合失調症の症状と経過について説明する
・服薬継続の重要性と副作用への対処方法を説明する
・規則正しい睡眠-覚醒リズムの重要性を説明する
・ストレスマネジメントの方法について指導する
・過度の仕事へのコミットメントを避ける方法を一緒に考える
・適切な休息の取り方と生活リズムの調整方法を指導する
・症状悪化のサインとその対処方法について説明する
・家族に対して、患者の支援方法と観察ポイントを説明する
看護計画 #2
看護問題
#精神症状(被害妄想)に関連した栄養摂取量不足
長期目標
退院時までに、1日2,400kcalの必要栄養量が確保でき、体重が入院前の65kgに回復する
短期目標
1週間以内に、毎食8割以上の摂取ができ、1日1,700kcalから2,000kcalの摂取が確保できる
1週間以内に、水分摂取量が1日1,200ml以上確保できる
2週間以内に、体重減少が止まり、増加傾向に転じる
≪O-P≫観察計画
・食事摂取量を毎食記録し、カロリー換算を行う
・水分摂取量を時間帯別に記録する
・体重を週2回測定し、変化を確認する
・被害妄想の内容と食事への影響を観察する
・食事中の表情や不安の程度を観察する
・食事のペースと食べ方の特徴を観察する
・皮膚の乾燥状態や脆弱性を確認する
・活動量と疲労度を観察する
・口腔内の状態と嚥下機能を確認する
・便秘の有無と排便状況を確認する
・食事に関する発言内容を記録する
・母親が持参した食事への反応を観察する
≪T-P≫援助計画
・食事は必要カロリー2,400kcal/日を目標に、分割摂取を促す
・水分は30ml/kg/日を目標に、時間を決めて提供する
・食前に職員が検食し、安全性を説明する
・食事の際は患者の近くで見守り、不安軽減を図る
・活動量に応じて、間食を1日2回提供する
・被害妄想が強い時は、一緒に食事をとり安心感を提供する
・母親の面会時に一緒に食事をする機会を設ける
・食事時は静かで落ち着ける環境を整える
・水分摂取は冷温や種類を工夫して提供する
・栄養補助食品を主治医と相談して検討する
・作業療法の前後で軽食を提供する
・皮膚の乾燥予防のためのスキンケアを実施する
≪E-P≫教育・指導計画
・必要栄養量と現在の摂取量について説明する
・体重減少が心身に及ぼす影響について説明する
・水分摂取の重要性と必要量について説明する
・服薬と栄養摂取の関連について説明する
・活動量と必要栄養量の関係について説明する
・家族に対して食事内容の工夫や支援方法を説明する
・便秘予防のための水分摂取の重要性を説明する
・退院後の食事管理について具体的な方法を説明する
事例の目次
【ゴードン】統合失調症 入院21日目 (0010)| 今回の情報
1.健康知覚-健康管理
2.栄養-代謝
3.排泄
4.活動-運動
5.睡眠-休息
6.認知-知覚
7.自己知覚-自己概念
8.役割-関係
9.性-生殖
10.コーピング-ストレス耐性
11.価値-信念
看護計画
この記事の執筆者

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり
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