【ヘンダーソン】アルツハイマー型認知症 入院7日目(0007)| 看護計画

ヘンダーソン

事例の要約

アルツハイマー型認知症と診断され5年が経過した83歳女性が、自宅で転倒し入院となった事例である。30年間小学校教諭として勤務していた患者は、夫の他界後に認知症症状が急速に進行し、長男夫婦との同居を機に医療機関を受診していた。入院後は環境の変化により見当識障害が悪化し、教師時代の記憶と現実が混在した発言が増加。さらに誤嚥性肺炎を合併し、食事摂取量が著しく低下している。長男の妻が献身的にケアを続けているものの、介護負担が限界に近づいており、今後の療養方針の検討が必要な状況である。20XX年1月15日入院、介入7日目の事例である。

看護計画#1

看護問題

#誤嚥性肺炎、嚥下機能低下に関連した非効果的な呼吸パターン

長期目標

・誤嚥性肺炎が改善し、酸素投与なしで酸素飽和度96%以上を維持できる

短期目標

・呼吸数が18-20回/分の範囲内で維持できる
・酸素飽和度が酸素投与下で95%以上を維持できる
・湿性ラ音が減少し、分泌物を効果的に喀出できる

≪O-P≫観察計画

・呼吸数、呼吸のリズム、呼吸の深さを観察する
・酸素飽和度の値と変動を確認する
・呼吸音(湿性ラ音の有無と程度)を聴取する
・咳嗽の強さと痰の性状、量を確認する
・意識レベルと見当識の状態を観察する
・発熱の有無と体温の推移を確認する
・食事摂取時の嚥下状態とむせ込みの有無を観察する
・体位保持の状況と体位変換後の呼吸状態を確認する
・酸素投与部位の皮膚状態を観察する
・非言語的な呼吸困難のサイン(表情の変化、落ち着きのなさなど)を観察する
・活動時の呼吸状態の変化を確認する
・口腔内の状態と清潔度を観察する

≪T-P≫援助計画

・30度以上のギャッジアップを保持し、安楽な体位を保持する
・2時間ごとの体位変換を実施する
・加湿された酸素を適切な流量(2-3L/分)で投与する
・酸素カニューレの固定位置を定期的に変更し、皮膚トラブルを予防する
・体位ドレナージと軽いタッピングを1日3回実施する
・口腔ケアを毎食前後に実施する
・食事は一回量を少なくし、とろみ剤を使用して介助する
・食事の際は完全覚醒を促し、正しい姿勢を保持する
・むせ込み時は直ちに中止し、口腔内の残渣を除去する
・必要に応じて吸引を実施し、気道内の分泌物を除去する
・リハビリテーション科と連携し、呼吸リハビリを実施する
・室内の適切な温度・湿度管理を行う

≪E-P≫教育・指導計画

・誤嚥予防のための安全な食事姿勢について家族に説明する
・とろみ剤の適切な使用方法を家族に指導する
・食事介助の際の観察ポイントを家族に説明する
・むせ込み時の対処方法について家族に指導する
・口腔ケアの重要性と具体的な方法を家族に説明する
・体位保持の重要性と具体的な方法を家族に指導する
・呼吸状態悪化時の早期発見のポイントを家族に説明する
・日常生活における誤嚥予防策について家族に指導する

看護計画#2

看護問題

#誤嚥性肺炎と認知機能低下に関連した栄養摂取不足

長期目標

・必要栄養量(1,270~1,586kcal/日)の8割以上を安全に摂取できる
・アルブミン値が3.5g/dL以上に改善する

短期目標

・食事摂取量が現状の3割から6割以上に増加する
・むせ込みなく安全に経口摂取ができる
・体重が維持できる

≪O-P≫観察計画

・1日の食事摂取量と水分摂取量を測定する
・食事中のむせ込みや咳込みの有無を観察する
・食事時の覚醒状態と認知機能の状態を確認する
・食事中の呼吸状態と酸素飽和度を観察する
・食事に対する反応や拒否の有無を確認する
・口腔内の状態(乾燥、義歯の適合、残渣の有無)を観察する
・体重の推移を週1回測定する
・食事前後の疲労度を観察する
・嘔吐や吐き気の有無を確認する
・排便状況(回数、性状、量)を観察する
・皮膚の状態(浮腫、褥瘡の有無)を観察する
・栄養状態を示す血液検査データ(総タンパク、アルブミン値、ヘモグロビン値、中性脂肪値)の推移を確認する
・炎症反応(白血球数、CRP値)の推移を確認する
・電解質バランス(ナトリウム、カリウム、クロール値)を確認する

≪T-P≫援助計画

・食事時は30度以上のギャッジアップを保持する
・食事前に口腔ケアを実施する
・食事前に覚醒を促す声かけと環境調整を行う
・一回量を小さくし、本人のペースに合わせて介助する
・食事にとろみ剤を適切に使用する
・食事中は定期的に口腔内の残渣を確認する
・食事の際は教師時代の話題を取り入れ、安心できる環境を作る
・食事の環境整備(適切な照明、温度、騒音への配慮)を行う
・食事時の姿勢を安定させるためのポジショニングを行う
・食事は15-30分程度で終了するよう配慮する
・必要に応じて間食を提供する
・食事量が少ない場合は栄養補助食品の使用を検討する

≪E-P≫教育・指導計画

・誤嚥予防のための食事姿勢について家族に説明する
・食事介助の具体的な方法を家族に指導する
・とろみ剤の適切な使用方法を家族に説明する
・食事中の観察ポイントを家族に指導する
・口腔ケアの重要性と具体的な方法を家族に説明する
・食事時の環境調整の重要性について家族に説明する
・食事量が増えない場合の対応方法を家族に説明する
・認知症の症状に配慮した食事介助の方法を家族に指導する

看護計画#3

看護問題

#パーキンソニズムと認知機能低下に関連した転倒・転落のリスク状態

長期目標

・入院期間中に転倒・転落を起こすことなく過ごすことができる
・安全な体位が保持できる

短期目標

・ベッド上での安全な体位が保持できる
・危険行動がみられない
・医療機器類の自己抜去がない

≪O-P≫観察計画

・意識レベルと見当識の状態を確認する
・ベッド柵の位置とベッド周囲の環境を確認する
・体位変換後の呼吸状態と循環動態を観察する
・点滴ラインや酸素チューブの固定状態を確認する
・不穏行動や危険行動の有無を観察する
・褥瘡好発部位の皮膚状態を観察する
・パーキンソニズムの症状(筋強剛、動作緩慢)の程度を確認する
・疲労度や活動耐性を観察する
・ナースコールの使用状況を確認する
・睡眠・覚醒状態を観察する
・排泄パターンを把握する
・バイタルサインの変動を観察する

≪T-P≫援助計画

・ベッド柵を4点設置し、確実に固定する
・2時間ごとに体位変換を実施する
・ベッド周囲の環境整備(不要な物品の除去、照明の調整)を行う
・点滴ラインや酸素チューブの整理と固定を適切に行う
・必要物品を手の届く位置に配置する
・ナースコールをいつでも使用できる位置に設置する
・体位変換時は呼吸状態に注意し、必要に応じて酸素流量を調整する
・定期的な排泄介助を実施する
・移動時は必ず看護師が付き添う
・ベッドの高さを最低位にする
・クッションやポジショニンググッズを活用し、安楽な体位を保持する
・履物は滑り止め付きのものを使用する

≪E-P≫教育・指導計画

・転倒リスクと予防の必要性について家族に説明する
・ベッド柵の重要性と確認方法を家族に指導する
・ナースコールの使用方法について本人と家族に説明する
・安全な移動方法について家族に指導する
・医療機器類の取り扱いについて家族に説明する
・見守り時の注意点について家族に指導する
・環境整備の重要性について家族に説明する
・異常の早期発見のポイントを家族に説明する

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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