【ヘンダーソン】慢性心不全 急性増悪[高血圧・糖尿病あり](0023)| 看護計画

ヘンダーソン

事例の要約

慢性心不全を基礎疾患に持つ患者が、急性増悪により救急搬送され入院した事例。患者は高血圧症と2型糖尿病の既往があり、自宅で突然の呼吸困難と胸部不快感を自覚し救急要請した。入院後は心不全治療とともに、患者の日常生活動作の拡大と再発予防に向けた指導を行っている。介入日は11月15日、入院後5日目である。

看護計画#1

看護問題

慢性心不全の急性増悪に伴う肺うっ血に関連した呼吸機能の低下

長期目標

退院時(入院後2週間程度)までに、安静時および軽度から中等度の日常生活活動時に呼吸困難感がなく、SpO₂95%以上を維持し、日常生活活動を自立して行えるようになる。

短期目標

1週間以内に安静時の呼吸状態が安定し(呼吸数12〜20回/分、SpO₂95%以上)、病棟内の歩行時の息切れが軽減する。

≪O-P≫観察計画

・呼吸数、リズム、深さ、呼吸様式を1日3回(朝・昼・夕)および活動前後に観察する
・経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)を1日3回および活動前後に測定する
・呼吸音(特に湿性ラ音の有無)を1日2回(朝・夕)聴取する
・呼吸困難感の程度をmodified Borg scaleを用いて安静時および活動時に評価する
・咳嗽の有無、頻度、性状(乾性・湿性)を観察する
・喀痰の量、性状、色調を観察する
・頸静脈怒張の有無と程度を臥位で観察する
・下肢浮腫の程度と範囲を観察し、圧痕の深さを評価する
・日々の体重変化を同じ時間、同じ条件で測定する
・心不全悪化の兆候(夜間の呼吸困難、起坐呼吸、発汗増加など)の有無を観察する
・活動耐性(どの程度の活動で息切れが出現するか)を評価する
・血圧、脈拍数、不整脈の有無を1日3回測定する
・睡眠状態(夜間の呼吸困難による中断の有無など)を評価する
・疲労度を活動前後で評価する

≪T-P≫援助計画

・安楽な体位(ファウラー位または半座位)を確保し、呼吸を楽にする
・日中の活動と休息のバランスを配慮したスケジュールを作成し実施する
・酸素飽和度低下時(SpO₂90%以下)には医師に報告し、必要に応じて酸素投与を行う
・水分摂取量を測定・記録し、1日1,000mLの制限を遵守する
・1日3回の食事を少量ずつ、ゆっくり摂取できるよう配慮する
・塩分制限食(6g/日)の確実な提供と摂取状況を確認する
・毎日の体重測定を同じ時間に同じ衣類で測定する
・段階的な活動拡大(ベッド上→病室内→病棟内→院内)を計画し実施する
・入浴・更衣など日常生活活動は疲労度に応じて援助し、自立を促進する
・深呼吸や腹式呼吸を一緒に行い、効率的な呼吸法を練習する
・口すぼめ呼吸法を一緒に実施し、呼吸効率の向上を図る
・医師の指示に従い、心臓リハビリテーションを実施する
・心不全治療薬(利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬)の確実な内服を確認する
・アラームシステムを活用し、SpO₂低下時には迅速に対応する
・不安や恐怖感に対して傾聴し、安心感を提供する

≪E-P≫教育・指導計画

・心不全の病態と肺うっ血による呼吸困難の関連について説明する
・心不全悪化の早期徴候(呼吸困難感の増強、夜間咳嗽、急激な体重増加、下肢浮腫の増悪)とその対応方法を指導する
・塩分制限(6g/日)と水分制限(1,000mL/日)の必要性と具体的な方法を説明する
・服薬の重要性と各薬剤の効果・副作用について説明し、規則的な内服を促す
・毎日の体重測定の重要性と、2〜3日で2kg以上の増加がみられた場合の対応を指導する
・無理のない範囲での日常生活活動と適切な休息の取り方を指導する
・呼吸を楽にする姿勢(前傾姿勢、半座位など)と効率的な呼吸法(腹式呼吸、口すぼめ呼吸)を指導する
・禁煙継続の重要性を説明し、長期喫煙歴による肺への影響について理解を促す
・退院後の生活で注意すべき点(過労の回避、極端な温度変化の回避、感染予防など)を説明する
・心不全手帳の活用方法を指導し、自己モニタリングの習慣化を支援する

看護計画#2

看護問題

慢性心不全の自己管理に関連した知識不足

長期目標

退院時(入院後2週間程度)までに、A氏が慢性心不全の自己管理に必要な知識と技術を習得し、家族の協力を得ながら退院後の療養生活を自己管理できるようになる。

短期目標

1週間以内に、A氏が慢性心不全の病態と悪化要因、基本的な自己管理方法(塩分・水分制限、服薬管理、日常生活上の注意点)について説明できるようになる。

≪O-P≫観察計画

・疾患や治療に対する理解度を質問や会話から評価する
・学習意欲や自己管理に対する態度を観察する
・指導内容に対する質問や反応を観察する
・服薬管理能力(薬の名前、効果、服用方法の理解度)を評価する
・塩分制限食に対する理解度と受け入れ状況を観察する
・水分制限に対する理解度と実践状況を観察する
・症状モニタリングの理解度(体重変化、浮腫、呼吸困難などの自覚)を評価する
・視力・聴力の状態を観察し、教育方法の適切さを評価する
・集中力や疲労度を観察し、指導のタイミングや時間を検討する
・家族(特に妻)の理解度と協力状況を観察する
・生活習慣改善に対する意欲や葛藤の表出を観察する
・学習した内容の実践状況を観察する
・退院後の生活に対する不安や懸念の表出を観察する

≪T-P≫援助計画

・静かで明るく、集中できる環境を整え、個別指導を実施する
・大きな文字で作成した資料を用意し、視覚的に分かりやすい教材を提供する
・一回の指導時間は15〜20分程度とし、A氏の疲労度に合わせて調整する
・指導の優先順位を設定し、重要度の高い内容から段階的に進める
・口頭説明だけでなく、実物(薬剤、食品模型など)を用いた具体的な指導を行う
・心不全手帳を準備し、自己モニタリング方法を実践的に指導する
・妻も含めた指導の場を設定し、家族の協力体制を構築する
・薬剤師と連携し、服薬管理に関する指導を計画・実施する
・栄養士と連携し、塩分制限食の調理実習や試食会を計画する
・生活リズムに合わせた服薬スケジュールを一緒に作成する
・一包化した薬剤の準備と管理方法を支援する
・お薬手帳の活用方法を具体的に指導する
・退院後の外来受診予定や訪問看護サービスなどの継続支援体制を整える
・地域の患者教室や支援グループの情報を提供する
・リラックスした雰囲気で質問しやすい関係性を構築する

≪E-P≫教育・指導計画

・慢性心不全の病態と症状悪化のメカニズムについて説明する
・心不全悪化の早期徴候(呼吸困難、浮腫、体重増加、倦怠感増強)とその対応方法を説明する
・塩分制限(6g/日)の必要性と具体的な実践方法(調味料の計量、外食時の選択方法)を指導する
・水分制限(1,000mL/日)の方法と喉の渇きへの対処法を説明する
・内服薬の種類、効果、副作用、服用タイミングを説明し、確実な服薬方法を指導する
・毎日の体重測定と記録の方法を指導し、急激な増加(2〜3日で2kg以上)時の対応を説明する
・下肢浮腫のセルフチェック方法と記録の仕方を指導する
・適度な活動と休息のバランスを取る方法を説明する
・友人との交流場面での塩分・水分・アルコール制限の実践方法を具体的に説明する
・高血圧・糖尿病・慢性腎臓病など合併症の管理方法と関連性について説明する
・心不全手帳の記入方法と活用方法を指導する
・薬局での一包化サービスやお薬手帳の活用など、服薬管理をサポートするサービスについて説明する
・妻に対して、減塩調理の工夫や味付けの方法について栄養士と連携して指導する
・緊急時の連絡先や受診の目安について明確に説明する
・かかりつけ医、訪問看護、薬局などの連携体制について説明する

事例の目次

この記事の執筆者

なっちゃん
なっちゃん

・看護師と保健師免許を保有
・現場での経験-約15年
・プリセプター、看護学生指導、看護研究の経験あり

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